中国古典〜1日1言〜:6/6

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人生の大病はただこれ一の傲の字なり
-人生大病只是一傲の字なり-
「伝習録」
人生の大病はただこれ一の傲の字なり
傲:自分の能力や才能を鼻にかけて人を見下すこと。謙虚の反対である。
人生の最大の病気は、この「傲」の一字につきるのだという。
王陽明は、こう語ったとで、つぎのように続けている。
「子となって傲なれば必ず不孝。臣となって傲なれば必ず不忠。父なって傲なれば必ず不慈。友となって傲なれば必ず不信」
「傲」におちいらないためにはどうすればよいのか。王陽明によれば、「無我」になることだという。
「無我になれば自ら能く謙なり。謙は衆善の基にして、傲は衆悪の魁なり」
衆善の基
“謙は衆善の基”という言葉は、非常に考えさせられる言葉だと思います。現在、我々日本人を大衆という観点でみて、衆善の割合はどのぐらいなのでしょうか?
衆善:多くの善人
この王陽明の言葉をもとに、全員を「傲」の反対と定義し衆善で在ることができているでしょうか。グローバリズムが蔓延っている現在、さまざまな価値が創造され、大正時代まで語り継がれていた日本人としての価値観が敗戦を境に一気に変化してきたのではないでしょうか。
安保闘争などの時代には、まだ日本人としての骨が残っていたのでしょう。それを境に日本人が一気に骨抜きにされているのではないでしょうか。
考えることをしなくなり、学校教育では受け身ばかりの授業や身近な生活から逆算した学びをする機会が少なければ、大人になり社会人となった時に考える力は身についていないのではないでしょうか。
少年サッカーにおいても、自分の能力や才能を、勘違いする子供たちも見受けられます。それは正当な評価を受けることがなかったり、間違いから学ぶことや間違いを受け入れること、失敗を経験する機会が少なくなっていることが一因だと私は考えています。
傲
この言葉は、教育における重要なキーワードになるのではないでしょうか。
傲となる態度をとらないような学校教育、家庭教育、社会教育を国主導で取り組み、なおかつ行動を起こすことを善とする社会風土をもっと多くつくり、より豊な日本、強い心をもった日本人が多くなることが、後世に良い日本を引き継いでいくために今できる必要なことだと思います。

本書は人生を生きるうえで参考になることばがたくさんあります。ぜひ購入して普段の生活に役立てることをお勧めします。