中国古典〜1日1言〜:3/26
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法は三章のみ
-法三章耳-
「史記」
法は三章のみ
漢の高祖劉邦が秦を滅ぼした直後、従来の煩雑な法令をすべて廃止し、法律は三か条だけにとどめたという故事。略して法三章ともいう。
劉邦は、周辺諸県の有力者を集めて、こう約束した。
「諸兄は長いあいだ秦の苛酷な法に苦しめられてきた。ここでわしは諸兄に約束しよう。法は三章だけとする。人を殺した者の死刑、人を傷つけた者、盗みを働いた者は処刑するが、秦の定めたもろもろの法はすべて廃止する」
この布告が伝えられると、人々は歓呼して迎えたという。劉邦に対する支持が一気に高まったのである。
のちに劉邦が天下を握る基盤が、このときにつくられたのである。たくみな人心収攬術であり、すばらしい政治的配慮であったと言えよう。
苦しみから解放する先導者
この言葉にある劉邦は、秦に苦しめられた人々に対してヒーロー的存在になったと想像できます。人間は辛い時や悲しい時に手を差し伸べてくれる人に優しさや安心感があるなどの印象を抱きやすくなります。
集団心理を先導するときには、時と場所などタイミングが重要になってくると思います。この言葉にあるように長い間、秦に苦しめられた諸兄にとっては絶好のタイミングとなったのだと思います。
この“法は三章のみ”という言葉は、全ての状況に当てはまるとは考えにくいと思っています。
「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」という言葉の中にある、“実行のタイミング”が重要であることが、この言葉から考えさせられます。
そして、3つの条件が全て揃った時こそ、実行の最適なタイミングなのかもしれません。
中国古典〜1日1言〜:3/19
人を傷つける経験
”傷つける“という言葉にはさまざまな定義があると考えています。言葉で傷つけることや、行動で傷つけること、暴力で傷つけること、さまざまがあります。
私はこういった人を傷つけるという経験と傷つけられるという経験は、少年期においては必要なことではないかと考えています。昨今、親や指導者などが未然に失敗を防ぐような言行をおこなうことがあります。しかし、子供は大人ではありません。知識や経験も十分ではありません。
小学生や中学生の年代では、人間関係のトラブルは起こりやすい時期だと思います。そういった経験は大人になって必ず活きてきます。大きく道を外さないために大人がいるわけで、寄り道や遠回りは必要なことだと思います。
周りで苦しみに耐えている人に手を差し伸べる
一時の辛さというのは、自己で乗り越えることも大切だと思います。もちろん、周りに相談などもしながら。
ここで大切なことは、周りで苦しみに耐えている人がいないか目を配ることが大切であると考えられます。特に指導者をしている立場としては、チーム内にそういう選手がいないか目を配る必要があります。
チーム/組織が円滑に進むためには、そのような視点で全体を俯瞰することが大切です。
本書は人生を生きるうえで参考になることばがたくさんあります。ぜひ購入して普段の生活に役立てることをお勧めします。