中国古典〜1日1言〜:3/4
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尽く書を信ずれば則ち書なきに如かず
-尽信書則不如無書-
「孟子」
尽く書を信ずれば則ち書なきに如かず
書物を読んでも、批判の目を持たずそのすべてを信ずるならば、かえって書物を読まないほうがよい。という意味。
「書」を信ずるなという孟子のアドバイス。
ここで『孟子』が言っている「書」とは、「書経」のことである。
書経:儒教の五経の一つ。
孟子は儒家の正統を継いだ人物であり、『書経』は儒家の聖典である。
なんでも盲信すれば、進歩はない。
本だけではない。人の話を聞く場合にしても、全く同じである。
鵜呑みにするのではなく、自分なりに噛み砕いてこそ、血となり肉となるのである。
鵜呑みにしない
この世の中にはさまざまなジャンルの本があります。その一つが自己啓発本です。この中国古典も自己啓発の一つですが、ひとつの書籍や同じジャンルの書籍の内容を鵜呑みにするのではなく、常に反対の意見や違う視点でものごとをみることの重要性を訴えています。
孟子がこの言葉をいうことに、言葉の重みがあるということが述べられています。
一冊の本や、一人の言葉、一つのメディアからの情報など、一つの方向からだけの情報だとかえって情報を得ない方が良いという意見です。そのような情報の取り方だと洗脳されやすくなります。
私も川北義則氏の「悪人のススメ」や、里中李生氏の「いい人は成功者になれない」などの本は違った視点で物事をみるきっかけをくれた本です。
違う視点から物事をみる習慣をもち、多角的な視点を持つことが大切です。
さまざまな指導者と出会う
スポーツや治療、リハビリなどにおいても、一人の人間だけに指導を仰ぐのは良くないと思います。
さまざまな意見を聞くことは、非常に大切なことだと感じています。この言葉にもある「自分なりに噛み砕いてこそ、血となり肉となる」とありますが、とても素晴らしい表現だと思います。
物事に対する自分の考えを作るうえで、さまざまな意見を取り入れることは大切です。私もサッカーをしていた時には他の指導者から指導を仰ぐとまた違う刺激を得ることとができました。学びにしても、先生によって指導の仕方に違いがあり、考え方のバリエーションを得ることができました。
人間は他者の影響を受けやすい側面もあります。良き友人や良き指導者に出会うことは、人格形成においては大切なことです。
とにかく本を読み、人に会う
この言葉を逆の視点でみると、とにかくいろいろな書物を読むことが自信の考えを形作るために大切なことだと思います。同じジャンルでも違う著者の人の本を読んだり、違うジャンルの本を読むなど、読書は学びに最高の手段だと私は思います。
そして、もう一つが人に会うことです。とくに自身が尊敬する人物の話を聞くことが大切です。私も、職場でさまざまな先輩の考え方に触れてきました。その中で自分が納得したり気付かされたりする意見を取り入れて自分の考えを形作っていきました。
そのためには行動をしていかなくてはなりません。本で内在的に考え方を形づくり、人からの意見を得ることで外在的に考え方を形作っていくことが大切です。そのようにして、自身の物事に対する考え方を構築し、再評価し、再構築を繰り返していくことが成長には不可欠だと思います。
本書は人生を生きるうえで参考になることばがたくさんあります。ぜひ購入して普段の生活に役立てることをお勧めします。