原発について、東日本大震災前後での変化と現状

谷本一真
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

主な参考資料:愛媛新聞、資源エネルギー庁、福島県、東京電力ホールディングス

この記事では、今朝の新聞記事で報じられていた「原発稼働率が福島事故後で最高水準になっている」という内容をきっかけに、日本の原子力発電が東日本大震災前後でどのように変化してきたのかを整理します。原発を単純に「必要」「不要」と分けるのではなく、電力の安定供給、脱炭素、事故の記憶、廃炉、避難者、核のごみという複数の視点から考えてみたいと思います。

原発稼働率は事故後の最高水準へ

今日の愛媛新聞記事では、2025年度の原発稼働率が33.6%となり、福島第一原発事故後としては過去最高となったことが報じられていました¹。これは、日本の原発が少しずつ再稼働していることを示す数字です。

ただし、ここで注意したいのは、「原発が震災前と同じように戻った」という意味ではないという点です。東日本大震災前、日本では原子力発電が電力供給の大きな柱の一つでした。2010年度の電源構成では、原子力が約25%を占めていたとされています²。

一方、2024年度の日本の発電電力量の構成を見ると、原子力は9.4%、再生可能エネルギー(水力を含む)は23.0%、火力は67.5%でした³。つまり、原発は再び動き始めているものの、電源全体に占める割合は震災前よりもかなり低い状態にあります。

東日本大震災前後で何が変わったのか

東日本大震災前の日本では、原子力は「安定的に大量の電気をつくる電源」として位置づけられていました。2010年度には、原子力が電力の約4分の1を担っていました²。

しかし、2011年3月11日の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故によって、原子力政策は大きく変わりました。事故後、全国の原発は順次停止し、2014年度には原子力の発電割合が0%になりました²。

その後、日本では原子力規制委員会による新しい規制基準がつくられ、その基準に適合した原発について、地域の理解を得ながら再稼働を進めるという形になりました⁴。2026年2月17日時点では、日本全国で15基の原子力発電所が稼働していると資源エネルギー庁は示しています⁴。

震災前・震災後・現在の比較

時期原発の位置づけ主な状況
東日本大震災前電力供給の大きな柱2010年度、原子力は発電電力量の約25%²
事故直後〜2014年度原発停止へ全国の原発が順次停止し、2014年度は原子力発電割合0%²
再稼働期安全審査を前提に一部再稼働新規制基準に適合した原発が順次再稼働⁴
現在脱炭素電源の一つとして再評価2024年度の原子力比率は9.4%、2026年2月時点で15基稼働³⁴

なぜ原発再稼働の議論が強まっているのか

現在、政府は再生可能エネルギーか原子力かという二者択一ではなく、再エネと原子力をともに最大限活用する方針を示しています⁵。

その背景には、電力需要の増加、脱炭素、エネルギー安全保障があります。特に、データセンターや半導体工場など、安定した電力を大量に必要とする産業が増える中で、電力をどう確保するかは国全体の課題になっています⁵。

また、日本は石炭、天然ガス、石油などの化石燃料を多く輸入しています。火力発電への依存が高い状態が続くと、燃料価格の変動や国際情勢の影響を受けやすくなります。2024年度でも火力発電は発電電力量の67.5%を占めており、依然として大きな割合です³。

それでも、福島の問題は終わっていない

一方で、原発再稼働を考えるときに、福島第一原発事故の影響を切り離して考えることはできません。

東京電力ホールディングスによると、福島第一原発では現在も廃炉作業が続いています。燃料デブリの取り出しは2号機から着手され、2024年9月10日に試験的な取り出し作業が始まったとされています⁶。廃炉は非常に長期にわたる作業であり、技術的にも社会的にも難しい課題が残っています。

さらに、福島県の公表では、2026年2月1日時点でも23,410人の方が避難を続けています⁷。避難者数はピーク時より減少していますが、「まだ戻れない人がいる」という事実は、原発事故の影響が現在も続いていることを示しています。

私がこの記事を読んで感じたこと

今回の記事を読んで、原発の必要性について考えることができました。

東日本大震災後、日本は原発を止め、火力発電に大きく依存しながら電力をまかなってきました。その一方で、脱炭素やエネルギー安全保障の観点から、原発を再び使う方向へ政策が動いています。

ただし、福島の廃炉や避難者の現状を見ると、原発事故の影響は決して過去のものではありません。原発を使うかどうかを考えるときには、「電気をどう確保するか」と同時に、「事故が起きたときに地域の暮らしをどう守るのか」「廃棄物を次世代にどう引き継ぐのか」という視点も必要だと思います。

原発の議論は、賛成か反対かだけで終わらせるには大きすぎるテーマです。だからこそ、数字と事実を確認しながら、地域の安全、暮らし、将来世代への責任を含めて考え続ける必要があるのではないでしょうか。

参考・引用文献

  1. 愛媛新聞.「福島事故後 原発稼働率 最高に」2026年5月7日 朝刊.
  2. 日本原子力文化財団.「エネルギーミックスの重要性」『原子力総合パンフレット』.
  3. 資源エネルギー庁.(2025)「令和6年度(2024年度)エネルギー需給実績(速報)を取りまとめました」.
  4. 資源エネルギー庁.(2026)「日本のエネルギー 2025年度版 9.原子力」.
  5. 資源エネルギー庁.(2026)「『エネルギー基本計画』をもっと読み解く⑤:脱炭素電源としての原子力の活用」.
  6. 東京電力ホールディングス.「廃炉に向けたロードマップ」.
  7. 福島県.(2026)「避難者数の推移」.
PAGE
1 2 3 4
ABOUT ME
谷本一真
谷本一真
理学療法士、呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士、PRP-Japan、JFA-B級
PRI(Postural Restoration Institute)コンセプトを基に、障害予防やパフォーマンス向上を目的としたコンディショニング指導を行っています。また、小学生を中心にサッカー指導者としても活動し、子どもたちの心身の成長をサポートさせていただいています。 運動や生活習慣の改善を通じて、健康づくりのサポートに情熱を注いでいます。
記事URLをコピーしました