宇和島市教育委員会は令和7年度に何を話し合っていたのか?~公開されている会議録から1年間をふり返る~

谷本一真
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今回は、令和7年度(令和7年4月~令和8年3月)に開催された定例会12回・臨時会1回の会議録¹⁻¹⁴をもとに、この1年間にどのような話し合いが行われていたのかを整理してみたいと思います。

なお、本記事は公開されている会議録(一次情報)に基づいてまとめたものですが、非公開案件(人事・懲戒など)については会議録上も概要のみの記載となっている点をご了承ください。

宇和島市教育委員会とは?会議録はどこで読める?

宇和島市教育委員会は、教育長と5人の委員で組織される合議制の執行機関で、会議は原則として毎月1回の定例会が公開で行われています¹。令和7年度は山村由美教育長のもと、教育行政のあり方、条例・規則の改正、予算などが審議されました。

会議録は、市公式サイトの「宇和島市教育委員会について」のページにPDFで掲載されています¹。

それでは、1年間の主な議題を7つのテーマに分けて見ていきます。まずは、全体像を次の表にまとめてみました。

テーマ主な内容関連する会議録
学校再編小学校統合、幼稚園閉園、三間地区統合の検討4月・6月・10月・3月² ⁴ ⁸ ¹⁴
学校給食給食費無償化、調理場再編、アレルギー対応補助1月・2月・3月¹¹ ¹² ¹⁴
不登校対策学びの多様化学校、校内支援、心の状態チェック5月・7月・10月・1月・3月³ ⁵ ⁸ ¹¹ ¹⁴
部活動休日・平日の地域展開、指導者確保10月・11月・3月⁸ ⁹ ¹⁴
学生寮宇和島市学生寮の設置、全国募集への対応9月・10月・12月・3月⁷ ⁸ ¹⁰ ¹⁴
ICT・施設整備端末更新、ネットワーク整備、体育館空調6月・2月・3月⁴ ¹² ¹⁴
文化財・地域連携吉田祭、伊達博物館、宇和島城、都市間交流5月・6月・8月・9月・10月・2月・3月³ ⁴ ⁶ ⁷ ⁸ ¹² ¹⁴

表にしてみると、令和7年度の教育委員会では、学校再編のような大きな制度変更だけでなく、給食、通学、ICT、文化財、地域連携など、子どもたちの生活に近いテーマが幅広く話し合われていたことが分かります。

1.学校再編が大きく動いた1年

令和7年4月8日、5つの小学校が統合した新しい吉田小学校が開校しました²。一方で、開校直後はスクールバスに全員が着席できない、下校時にバスに乗り遅れる児童がいるといった課題も委員から報告され、6月補正予算ではバス待合所の整備費などが計上されています² ⁴。

年度後半には、令和8年度から三浦小学校を番城小学校へ、蒋淵小学校を遊子小学校へ統合する条例改正が可決され⁸、令和8年3月22日には両校の閉校記念式典が行われました¹⁴。また、宇和津幼稚園が71年の歴史に幕を閉じ、これにより市立幼稚園はすべて廃止となっています¹⁰ ¹⁴。三間地区の小学校統合は令和11年度を目標に進められているとのことです⁸。

学校再編に関する主な動きを、次の表に整理してみました。

時期内容ポイント
令和7年4月新吉田小学校開校²5小学校を統合
令和7年6月バス待合所整備⁴通学環境の改善
令和7年10月三浦小・蒋淵小の統合議案⁸令和8年度から統合
令和8年3月閉校記念式典¹⁴地域の節目
令和8年度末宇和津幼稚園閉園¹⁰ ¹⁴市立幼稚園は廃止
令和11年度目標三間地区小学校統合⁸今後も検討継続

5月の教育長報告では、南予管内の小中学校数がこの17年間で約6割にまで減少しているという数字も紹介されており³、学校再編は今後も続くテーマといえそうです。

2.学校給食の無償化が決定

令和8年4月から、小中学生の給食費の保護者負担が無償化されることになりました¹²。国の支援対象は小学生ですが、宇和島市では市独自で中学生分まで無償化する判断がなされています¹² ¹⁴。

その前段として、学校給食運営審議会に「学校給食提供体制のあり方」と「給食無償化後の学校給食」が諮問され、少子化や調理員確保の難しさから、共同調理場は中央調理場へ集約する方向で再編やむなしという意見が多数を占めたことが報告されました¹¹。アレルギー対応で弁当を持参する家庭への補助金も、無償化後の給食費相当額(小学生310円・中学生350円)に増額されています¹⁴。

給食に関する話し合いをまとめると、次のようになります。

項目内容ねらい・背景
給食費無償化小中学生が対象¹² ¹⁴保護者負担の軽減
中学生分市独自で対応¹² ¹⁴市内全体で支援
調理場再編中央調理場へ集約方向¹¹少子化・人材確保
弁当持参補助小310円・中350円¹⁴アレルギー対応

給食費の無償化は保護者負担の軽減につながる一方で、給食を安定して提供するための調理場体制や人材確保も同時に考える必要があることが分かります。

3.不登校対策と「学びの多様化学校」の検討

不登校への対応は、年間を通じて繰り返し話題になったテーマです。点検・評価報告では、市内の不登校児童生徒の割合が令和2年度と比べて小学校で約3倍、中学校で約2倍と厳しい状況にあることが示されました⁹。全国でも12年連続増加・過去最多(35万3,970人)という報道が教育長から紹介されています⁸。

7月には教育委員一同で宮城県の白石市立白石きぼう学園(不登校児童生徒を対象とした「学びの多様化学校」)を視察し⁵、その後も文部科学省の専門家による研修を受けるなど調査研究が続けられました¹¹。そして令和8年度からは、学校教育課に「教育政策班」(3名)を新設し、学びの多様化学校の開設に向けた検討・準備を進めることが報告されています¹⁴。

このほか、県事業として1人1台端末で心の状態を定期チェックする「ジブンミカタプログラム」の開始も紹介されました³。

不登校対策の流れを整理すると、次のようになります。

取り組み内容会議録での位置づけ
状況把握不登校割合の増加⁹課題の共有
先進地視察白石きぼう学園⁵学びの多様化学校を研究
専門家研修文科省専門家¹¹制度理解を深める
教育政策班令和8年度から新設¹⁴開設準備を進める
ジブンミカタ心の状態チェック³早期把握の仕組み

不登校対策については、「学校に戻す」だけではなく、子ども一人ひとりに合った学びの場をどう作るか、という視点が大切になってきているように感じます。

4.部活動の地域展開~中学校から部活動がなくなる?~

11月定例会では、部活動の地域展開について具体的なスケジュールが示されました。休日の部活動は令和10年9月までに地域展開を完了し、令和13年度末までには平日も含めた移行の完了を目指すという計画です⁹。教育長は「今の年長児が中学生になる頃には、全中学校で部活動はなくなっている計画」という趣旨の説明をされています⁹。

一方で、3月補正では部活動指導員が当初想定の10名程度に対して実績4名にとどまったことが報告されており¹⁴、指導者となる地域人材の確保が課題であることもうかがえます。中学校新人戦では参加人数の減少により合同チームで出場する学校もあったとのことです⁸。

部活動地域展開の流れを、次の表にまとめてみました。

時期・目標内容課題
令和10年9月まで休日部活動の地域展開⁹受け皿づくり
令和13年度末まで平日含め移行完了⁹継続的な運営
令和7年度実績指導員4名¹⁴人材確保
現場の状況合同チーム出場⁸生徒数減少

部活動の地域展開は、単に学校から地域へ活動場所を移すだけではなく、指導者、費用、移動手段、子どもの安全管理なども含めて考える必要がありそうです。

5.高校生向け「宇和島市学生寮」の設置

9月定例会では、宇和島市学生寮設置条例が可決されました⁷。宇和島水産高校が令和8年度入学生から全国募集を開始することなどを受け、伊吹町の旧大学寮(鉄骨4階建・84室)を借り上げて、県外・市内遠方から市内高校に通う生徒の寮として令和8年4月に開設するものです⁷。

寮費は月額3万円で、食費・光熱水費を含めると月6万円程度の負担が見込まれると説明されています⁷。管理運営や配食の業務委託、施行規則の整備など、開設準備に関する議題は10月・12月にも続きました⁸ ¹⁰。令和8年度当初予算では関連経費として約5,200万円が計上されています¹⁴。

学生寮については、次のように整理できます。

項目内容補足
開設時期令和8年4月⁷市内高校生向け
場所伊吹町の旧大学寮⁷鉄骨4階建・84室
対象県外・市内遠方の生徒⁷全国募集などに対応
寮費月額3万円⁷食費等込み約6万円
関連予算約5,200万円¹⁴令和8年度当初予算

学生寮の設置は、宇和島市内の高校が市外・県外から生徒を受け入れるための環境整備として位置づけられていると考えられます。

6.ICT・教育環境の整備

GIGAスクール構想第2期として、小中学校の教育用タブレット端末一式(約2億9,068万円)の取得が承認され⁴、端末はiPadからChromebookへ変更されることも質疑の中で確認されました¹²。令和8年度には全26小中学校の無線LAN環境と教育委員会専用ネットワーク「宇和島スクールネット」の構築(約1億1,655万円)も予定されています¹⁴。

施設面では、小中学校体育館への空調整備が進められており、令和8年度には吉田中学校を除く5中学校の屋内運動場に空調を整備する予算(約3億円)が計上されました⁴ ¹⁴。

また、平日に親子で体験的な学びを行う日を年間3日まで「出席を要しない日」とする「うわじまラーケーション制度」が令和8年4月から試行されることになりました¹²。このほか、愛媛大学教育学部との連携協力覚書の締結²、教職大学院生の小規模校実習の受け入れ⁷、チーム担任制研究実践校(番城小・岩松小)の取り組み²なども報告されています。

ICT・教育環境の整備について、主な内容を表にまとめます。

分野内容金額・規模
端末更新Chromebookへ変更⁴ ¹²約2億9,068万円
ネットワーク宇和島スクールネット¹⁴約1億1,655万円
体育館空調5中学校に整備⁴ ¹⁴約3億円
ラーケーション年間3日まで¹²令和8年4月試行
大学連携愛媛大学と連携² ⁷実習・研究連携

ICTや施設整備は、子どもたちの学びやすさだけでなく、教職員の業務効率や災害時の避難環境にも関係してくるテーマだと考えられます。

7.文化財・スポーツ・地域との連携

文化財関係では、「吉田祭のお練り行事」が令和7年3月に重要無形民俗文化財に指定されたことを受け、記念シンポジウムが開催されました³ ⁴。山・鉾・屋台行事の国指定は中国・四国地方で初めてとのことです⁴。

新伊達博物館の建設工事では、地中の想定外の石により杭工事が中断し、工事費約2億円の増額と工期約4.5か月の延長が報告されましたが、令和10年春の開館予定に変更はないと説明されています⁴ ¹²。現在の伊達博物館は令和8年度末で閉館し、閉館記念特別展が予定されているそうです¹⁴。

宇和島城については、傾斜計の変位を受けた防災対策(大型土のう設置)⁶や桑折長屋門の改築⁸が進められた一方、令和8年2月には天守で落書きが発見され、防犯カメラ設置などの対策を検討するという報告もありました¹²。

このほか、仙台市との歴史姉妹都市提携50周年を記念した特別展「伊達の遺伝子」の開催⁷や、東二番丁小学校との交流学習、学校間交流に関する覚書の締結¹²、中央公民館を改修した「宇和島市青少年交流センター(ホリバタ)」の設置¹¹など、地域や他都市とのつながりに関する話題も多い1年でした。

文化財・地域連携の話題を整理すると、次のようになります。

分野主な話題意味合い
吉田祭重要無形民俗文化財指定³ ⁴地域文化の継承
伊達博物館工費増・工期延長⁴ ¹²令和10年春開館予定
宇和島城防災・落書き対策⁶ ¹²保存と管理
仙台市交流提携50周年・交流学習⁷ ¹²歴史的つながり
青少年交流ホリバタ設置¹¹若者の活動拠点

教育委員会の会議では、学校教育だけでなく、文化財、スポーツ、地域交流も重要なテーマとして扱われていることが分かります。

会議録を読むときの留意点

会議録は一次情報として非常に貴重ですが、いくつか留意点もあると思います。

まず、人事・懲戒などの非公開案件は概要のみの記載であり、すべての議論が読めるわけではありません¹。また、会議録は発言の要旨をまとめたものですので、現場のニュアンスがすべて伝わるとは限らないかもしれません。さらに、教育委員会の定例会は月1回・1時間前後であり、日常的な施策の検討は事務局(各課)で行われています。会議録だけで教育行政の全体像を判断するのは難しい、という点は意識しておく必要がありそうです。

予算や計画についても、議会の議決を前提とした説明が含まれているため、最新の状況は市の公式発表をあわせて確認するのが確実だと思います。

留意点を表にすると、次のようになります。

留意点内容
非公開案件人事・懲戒は概要のみ
要旨記録発言の全てではない
事務局の検討会議録だけでは見えにくい
予算・計画議会議決や最新情報の確認が必要

会議録は大切な一次情報ですが、そこに書かれていることだけで全てを判断するのではなく、市議会資料、市の予算資料、学校現場や保護者の声なども合わせて見ていくことが大切だと感じます。

それでも会議録から見えてくること

留意点はあるものの、会議録を通して読むと、少子化を背景にした「学校・給食調理場・部活動の再編」と、「不登校対策・教育環境整備・地域連携」という攻めの施策が同時に進んでいる様子が見えてきます。

また、委員のみなさんがスクールバスの安全、公民館のエアコン、AEDの設置場所、保護者へのサポートといった生活に密着した質問を毎回投げかけている点も印象的でした。教育委員会の会議は傍聴も可能とされています¹ので、関心のあるテーマがある方は、まず会議録を読んでみることから始めてもよいかもしれません。

1年間を大きく見ると、次のような方向性が見えてきます。

見えてくる方向性具体例
再編への対応学校・給食・部活動
学びの多様化不登校支援・ラーケーション
環境整備ICT・体育館空調
地域との連携大学・仙台市・文化財
生活に近い視点通学・給食・安全対策

教育委員会の会議録は、教育行政を遠いものではなく、地域の子どもたちの暮らしとつながるものとして見るきっかけになると感じました。

まとめ

令和7年度の宇和島市教育委員会では、学校統廃合、給食無償化、不登校対策、部活動の地域展開、学生寮の設置など、子どもたちの環境を大きく左右するテーマが数多く話し合われていました。

最後に、この記事で整理した内容をまとめます。

主なテーマ令和7年度の動き
学校再編統合・閉校・幼稚園廃止
給食無償化と調理場再編
不登校支援学びの多様化学校を検討
部活動地域展開の計画
教育環境ICT・空調・学生寮整備
地域文化文化財・交流事業

私自身、運動・健康づくりの立場から子どもたちに関わる一人として、こうした行政の動きを知っておくことは、地域で活動するうえでの土台になると感じています。この記事が、宇和島の教育に関心を持つきっかけの一つになれば嬉しく思います。

※本記事は令和8年5月時点で公開されている会議録に基づいています。最新の情報は宇和島市公式ホームページをご確認ください。

参考文献

  1. 宇和島市教育委員会について(宇和島市公式ホームページ)
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/soshiki/30/kyoiku015.html
  2. 宇和島市教育委員会 令和7年4月定例会会議録
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/attachment/62091.pdf
  3. 宇和島市教育委員会 令和7年5月定例会会議録
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/attachment/62591.pdf
  4. 宇和島市教育委員会 令和7年6月定例会会議録
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/attachment/63006.pdf
  5. 宇和島市教育委員会 令和7年7月定例会会議録
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/attachment/63467.pdf
  6. 宇和島市教育委員会 令和7年8月定例会会議録
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/attachment/63822.pdf
  7. 宇和島市教育委員会 令和7年9月定例会会議録
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/attachment/67282.pdf
  8. 宇和島市教育委員会 令和7年10月定例会会議録
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/attachment/67283.pdf
  9. 宇和島市教育委員会 令和7年11月定例会会議録
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/attachment/67284.pdf
  10. 宇和島市教育委員会 令和7年12月定例会会議録
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/attachment/65277.pdf
  11. 宇和島市教育委員会 令和8年1月定例会会議録
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/attachment/67285.pdf
  12. 宇和島市教育委員会 令和8年2月定例会会議録
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/attachment/67286.pdf
  13. 宇和島市教育委員会 令和8年3月臨時会会議録
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/attachment/66691.pdf
  14. 宇和島市教育委員会 令和8年3月定例会会議録
    https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/attachment/67287.pdf
ABOUT ME
谷本一真
谷本一真
理学療法士、呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士、PRP-Japan、JFA-B級
PRI(Postural Restoration Institute)コンセプトを基に、障害予防やパフォーマンス向上を目的としたコンディショニング指導を行っています。また、小学生を中心にサッカー指導者としても活動し、子どもたちの心身の成長をサポートさせていただいています。 運動や生活習慣の改善を通じて、健康づくりのサポートに情熱を注いでいます。
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