高齢化で救急車出動件数が過去最多に!軽症患者が半数近くを占める現状とは?

引用元:3/18日本経済新聞 朝刊 社会2(著:高畑公彦)、総務省消防庁『2024年版消防白書』
日本の救急車の出動件数が、高齢化の影響などにより増加傾向を見せているようです。
2024年版消防白書によると、2023年の救急車の国内出動件数は763万8558件となり、前年比で約5.7%増え、過去最多を記録したとされているようです。2020年~2021年は新型コロナの影響で一時的に減少しましたが、2022年以降は再び増加して700万件を超える水準となっているようです(日経新聞・高畑公彦氏)。
救急車の出動件数推移(過去10年間)
年 | 出動件数(件) | 前年比増減率(%) |
---|---|---|
2014 | 6,058,190 | – |
2015 | 6,213,628 | +2.6 |
2016 | 6,345,517 | 2.1 |
2017 | 6,605,213 | 4.1 |
2018 | 6,637,967 | 4.1 |
2019 | 6,688,385 | 0.8 |
2020 | 5,970,000 | -10.7 |
2021 | 6,500,000 | 8.9 |
2022 | 7,229,572 | 11.2 |
2023 | 7,638,558 | 5.7 |
特に新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛期間(2020~2021年)は一時的に減少したものの、2022年以降は急増し、高齢化の進展や活動制限の緩和などを背景に再び大きな伸びを示しているようです。
救急出動の半分弱が軽症患者
また、2023年の救急搬送された患者のうち、約半数弱が軽症患者で、緊急の入院を要さないケースが多く含まれているようです。このため、消防庁は「日勤救急隊」の導入を検討するなど、効率的な運用体制の構築を進めているようです。
専門家の見解と対策
日本搬送学会理事長である愛知医科大の野口宏名誉教授(救急医学)は、「日勤救急隊は救急搬送の需給バランスを整える手段のひとつだが、根本的な解決策ではない」と指摘しています。
さらに、野口氏は生成AIを活用した搬送緊急度判定アプリの普及を促し、緊急度が低いケースでの救急搬送の削減を目指すべきだと強調しているようです。
今後の展望
日本では、今後ますます進む高齢化に伴い、救急搬送需要の増加が予測されています。限られた救急医療資源を適切に活用するためにも、行政や医療機関、市民が一体となり、効率的な医療体制の構築やAI技術の活用など、多面的な対策が重要になるとされているようです。
救急車出動件数の推移グラフ(引用:消防庁HP)
視覚的にも救急出動の推移を確認してみましょう。



教育と聞くと、学生に向けたイメージの言葉と感じますが、老若男女にとって情報リテラシーを高め、皆で学んでいく姿勢(共育)はとても重要な視点であると感じています。
参考文献
- 日本経済新聞 朝刊社会2面 (43ページ)『高齢化で救急車出動最多 23年5.7%増、軽症患者が半分弱』高畑公彦(2025年3月18日付)
- 総務省消防庁『2024年版消防白書』https://www.fdma.go.jp