中国古典〜1日1言〜:5/21

5/21
勝に急して敗を忘るるなかれ
-無急勝而忘敗-
「荀子」
勝に急して敗を忘るるなかれ
『荀子』議兵編に、将たる者の心得五項目が列挙されている。
- 一.解任を恐れてポストにしがみついてはならない。
- 一.勝とうとするあまり、敗れることもあることを忘れてはならない。
- 一.内部で威信を高めることばかり気をとられ、肝心の敵をおそろかにしてはならない。
- 一.有利な点だけを見て、不利な点を忘れてはならない。
- 一.作戦計画はあくまでも慎重を期すること。資材経費を惜しんではならない。
このことばの言わんとしているのは、万が一、敗れる場合のあることを想定して、それへの対策を用意してかかれということだ。
万全の態勢とは、それを言うのである。
このような用意があれば、かりに破れても、損害を最小限度にくいとめることができよう。
敗れることを想定する
事業計画や、スポーツにおいても“失敗すること”や“敗れること”を想定することを明言する言葉というのは少ないと思います。目的が“成功すること”や“勝つこと”であるため、目的の定義を達成するためのアクションをとり続けることがまず優先事項になると思います。
それを踏まえた上で、次は“失敗すること”や”負けること“を想定して対策をとることが大切であることを教えてくれる言葉です。
失敗から逆算して対策を練ると、また違った取り組みがおこなえるようになります。
人生において、”したいことをする“ことは充実感を図るために大切なことだと私は思います。しかし、”したいこと“というのは”自分のこと“ではなく”他人を幸せにする“ことにあると私は思います。そういった過程でも、”うまくいかなかったことの対策“というのは、精神的な安定を図るためにも大切なことだと思います。
常に大局的な視点をもつ
大局的な視点として、”不利な点“と”有利な点“の双方から物事を見ることも大切なことの一つだと私は考えています。
人間には”感情“つきものです。人は、“感情というフィルター”を通して、事象や出来事、情報などを解釈することが考えられます。勝負の世界においても、一時の感情に流されてしまうと判断を誤ることがあります。
日常から、大局的な視点をもち、自身の感情がどのように発生しているかに目を向けることが大切だと私は思います。
そういった感情を理解することが、勝負の世界で生きていくだけでなく、社会でうまく生きていくために大切なことだと思います。

本書は人生を生きるうえで参考になることばがたくさんあります。ぜひ購入して普段の生活に役立てることをお勧めします。