ブルーゾーン宇和島を考える——津島の廃校活用「楽校うらしり」から見える、健康寿命と地域の居場所——

谷本一真
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

この記事では、2026年5月9日の愛媛新聞で紹介された、津島町の廃校を活用した交流拠点「楽校うらしり」の記事をきっかけに、宇和島市の高齢化、介護予防、フレイル予防、そして「ブルーゾーン宇和島」という視点について考えてみます。¹

今朝の愛媛新聞で紹介された「楽校うらしり」

2026年5月9日の愛媛新聞では、津島町の廃校を活用した交流拠点「楽校うらしり」が紹介されていました。

記事では、飲食、健康体操、図書室、宿泊、住民同士の交流など、地域の人たちが自然に集まれる場所として活用されている様子が紹介されていました。

特に印象的だったのは、「誰もが笑顔で集える場に」という見出しです。

健康づくりというと、筋力トレーニングや体操のような「運動」に目が向きやすいですが、この記事を読むと、健康には「人と会う」「話す」「笑う」「役割を持つ」「地域の中に居場所がある」といった要素も大切なのではないかと感じます。

このような場は、単なる施設ではなく、地域の健康を支える“土台”のような存在なのかもしれません。

宇和島市の高齢化率

宇和島市では、高齢化が全国平均を上回る水準で進んでいます。

宇和島市の「高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画」によると、令和5年9月末時点で、65歳以上の高齢者人口は27,966人、高齢化率は40.6%とされています。²

また、75歳以上の割合は22.7%とされており、今後は「長く生きること」だけではなく、「できるだけ元気に、自分らしく暮らせる期間をどう伸ばすか」が、より重要になっていくと考えられます。²

項目宇和島市の状況
65歳以上人口27,966人
高齢化率40.6%
75歳以上の割合22.7%
今後の課題地域包括ケアシステムの充実、地域共生社会の実現、介護予防の推進

宇和島市では、今後の高齢化を見据えて、地域包括ケアシステムの仕組みを活用しながら、多様な主体がともに地域をつくる「地域共生社会」の実現を目指す方向性が示されています。²

つまり、これからの宇和島では、病気や介護が必要になってから支えるだけではなく、元気なうちから地域の中でつながり、支え合う仕組みを育てていくことが大切になっていくと考えられます。

現在の宇和島市の介護予防の取り組み

宇和島市では、介護予防やフレイル予防に関する取り組みが行われています。

宇和島市地域包括ケアシステムポータルサイト「生き活きうわじまLife」では、フレイル・介護予防に関する情報が整理されています。そこでは、フレイルを「年齢とともに活動能力がじわじわと低下していく状態」として紹介し、早めに気づき、対策することの大切さが示されています。³

宇和島市の主な介護予防の取り組みとしては、次のようなものがあります。

取り組み内容
うわじまガイヤ健康体操高齢者の元気づくり・介護予防のために作成された健康体操。立った状態だけでなく、椅子に座ったままでも行える。⁴
生き活き教室65歳以上の方を対象に、筋力づくりや認知症予防を専門家と一緒に行う教室。⁵
介護予防教室・出前講座地域の団体などに向けて、介護予防に関する講座を行う取り組み。⁵
元気づくりサポーター地域で元気づくり活動を推進する介護予防ボランティア。⁶
フレイル予防の啓発運動、栄養、口腔、社会参加などの視点から、介護予防につなげる取り組み。³

特に「うわじまガイヤ健康体操」は、運動そのものだけでなく、人が集まり、顔を合わせるきっかけにもなります。⁴

これは、フレイル予防においてとても大切な視点だと感じます。

フレイル予防に大切な3つの柱

フレイル予防では、「運動」だけを頑張ればよいというわけではありません。

国立長寿医療研究センターの資料では、フレイル予防において「栄養・運動・社会参加」を組み合わせて考えることの重要性が示されています。⁷

フレイル予防の柱具体例
運動歩く、体操をする、筋力を保つ、外に出る
栄養3食食べる、たんぱく質を意識する、多様な食品をとる
社会参加人と会う、地域活動に参加する、役割を持つ、会話する

この3つの中で、意外と見落とされやすいのが「社会参加」です。

身体の健康を守るためには、筋力やバランス能力も大切です。しかし、外に出る機会が減り、人と話す機会が減ってしまうと、活動量も気持ちも少しずつ低下しやすくなるかもしれません。

その意味で、「楽校うらしり」のように、自然に人が集まり、食事をしたり、体操をしたり、会話をしたりできる場所は、フレイル予防の観点からも大切な地域資源だと考えられます。

健康寿命を伸ばすという視点

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、2022年の日本の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳です。⁸

一方で、健康寿命は男性72.57歳、女性75.45歳とされており、平均寿命との差は男性で約9年、女性で約12年あります。⁸

性別平均寿命健康寿命
男性81.05歳72.57歳8.49年
女性87.09歳75.45歳11.63年

この「差」は、日常生活に制限のある期間を意味するとされています。⁸

もちろん、年齢を重ねれば、体の不調や生活の不便さが出てくることは自然なことです。

しかし、少しでも長く、自分で歩き、人と会い、地域の中で役割を持ちながら暮らせることは、人生の幸福感にもつながるのではないでしょうか。

健康寿命を伸ばすということは、単に病気を防ぐことだけではなく、「自分らしく生活できる時間を増やすこと」でもあるのだと思います。

ブルーゾーン宇和島という視点

ブルーゾーンとは、健康で長寿の人が多い地域を表す言葉です。

世界的には、沖縄、イタリアのサルデーニャ島、ギリシャのイカリア島、コスタリカのニコヤ半島、アメリカのロマリンダなどが知られています。⁹ ¹⁰

Blue Zones公式サイトでは、長寿地域に共通する生活習慣として、自然な身体活動、生きがい、人とのつながり、家族や地域との結びつきなどが紹介されています。⁹

ここで大切なのは、「特別な健康法をしている」というよりも、暮らしの中に健康につながる行動が自然に組み込まれている点だと思います。

ブルーゾーンの視点宇和島で考えられること
自然な身体活動歩く、畑仕事をする、地域活動に参加する
人とのつながりサロン、体操教室、地域行事、集いの場
生きがい役割を持つ、誰かの役に立つ、趣味を続ける
地域との結びつき近所づきあい、自治会、ボランティア活動
食文化地域の食材、家庭の食事、季節の食事

宇和島市は高齢化が進んでいる地域です。

しかし、見方を変えれば、自然、食文化、地域のつながり、世代を超えた関係性など、健康寿命を支える可能性のある資源も多く残っている地域だと思います。

だからこそ、私は「ブルーゾーン宇和島」という視点を持つことに意味があると感じています。

それは、「宇和島を世界的な長寿地域だ」と断定するものではありません。

宇和島にある地域資源を見つめ直し、健康で幸せに暮らせるまちを、地域全体で育てていくための合言葉のようなものです。

「楽校うらしり」が教えてくれること

今朝の愛媛新聞で紹介された「楽校うらしり」は、廃校を活用した地域の交流拠点です。¹

廃校というと、少し寂しい印象を持つ方もいるかもしれません。

しかし、使われなくなった場所が、人が集まる場所として再び生まれ変わることは、地域にとって大きな意味があると思います。

そこに行けば、誰かがいる。

一緒に食事ができる。

体を動かせる。

話ができる。

笑顔になれる。

こうした場があることは、高齢者だけでなく、地域全体にとっても大切です。

特に、介護予防やフレイル予防の視点で考えると、「運動する場所」だけでなく、「行きたくなる場所」「人に会える場所」「自分の役割を感じられる場所」が重要なのではないでしょうか。

「楽校うらしり」は、その一つの形を示しているように感じました。

幸せな人生を過ごすために

幸せな人生を過ごすためには、単に長生きするだけではなく、できるだけ長く「自分らしく暮らせること」が大切だと思います。

自分の足で歩けること。

人と会えること。

地域の中に居場所があること。

誰かに必要とされること。

安心して話せる人がいること。

こうした一つ一つは、とても日常的なことです。

しかし、年齢を重ねるほど、その日常を続けられること自体が、かけがえのない価値になっていくのではないでしょうか。

フレイル予防や健康寿命の延伸は、専門家だけが取り組むものではありません。

本人、家族、地域、行政、医療・介護・運動の専門職、そして地域の居場所がつながることで、少しずつ形になっていくものだと思います。

まとめ

今朝の愛媛新聞で紹介された「楽校うらしり」の取り組みは、宇和島市のこれからを考えるうえで、とても大切なヒントを与えてくれる記事でした。¹

宇和島市は高齢化率が40%を超えており、今後も介護予防やフレイル予防の重要性は高まっていくと考えられます。²

その中で必要なのは、単に「運動しましょう」と伝えることだけではないと思います。

人が集まる場所をつくること。

役割を持てる場をつくること。

笑顔になれる時間をつくること。

地域の中で、自然に体を動かし、人とつながる仕組みを育てること。

それが、健康寿命を伸ばし、幸せな人生につながる大切な土台になるのではないでしょうか。

「ブルーゾーン宇和島」という言葉は、まだ私の中の一つの考え方です。

しかし、宇和島にある自然、食、人のつながり、地域の居場所を大切にしていくことで、年齢を重ねても笑顔で暮らせるまちに近づいていけるのではないかと感じています。

「楽校うらしり」のような場所が、これからの宇和島にもっと増えていくことを期待したいです。

参考文献・参考資料

  1. 愛媛新聞. 「誰もが笑顔で集える場に 津島の廃校活用 交流拠点『楽校うらしり』」2026年5月9日 朝刊.
  2. 宇和島市. 宇和島市高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画 令和6(2024)年度〜令和8(2026)年度. 2024.
  3. 生き活きうわじまLife. フレイル・介護予防.
  4. 生き活きうわじまLife. うわじまガイヤ健康体操.
  5. 生き活きうわじまLife. 生き活き教室.
  6. 生き活きうわじまLife. 元気づくりサポーター.
  7. 国立長寿医療研究センター. 地域におけるフレイル予防活動 実践!マニュアル.
  8. 厚生労働省 e-ヘルスネット. 平均寿命と健康寿命. 2025.
  9. Blue Zones. Power 9: Nine lifestyle habits of the world’s healthiest, longest-lived people.
  10. Buettner D, Skemp S. Blue Zones: Lessons From the World’s Longest Lived. Am J Lifestyle Med. 2016;10(5):318-321.

ABOUT ME
谷本一真
谷本一真
理学療法士、呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士、PRP-Japan、JFA-B級
PRI(Postural Restoration Institute)コンセプトを基に、障害予防やパフォーマンス向上を目的としたコンディショニング指導を行っています。また、小学生を中心にサッカー指導者としても活動し、子どもたちの心身の成長をサポートさせていただいています。 運動や生活習慣の改善を通じて、健康づくりのサポートに情熱を注いでいます。
記事URLをコピーしました