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サッカー守備戦術の教科書:超ゾーンディフェンス論

谷本一真
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松田浩氏の著書、「サッカー守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論」を読み終えてサッカーの観かたを変えることができました。

一番、この本で学べたことは試合観戦において「守備の仕方から相手チームを分析する」ということです。守備側の守備の仕方が、リトリートするのか、フォアチェックをするのか、どこで守備のスイッチを入れるのか、などの“どういう守備の仕方をするか”をみるようになりました。
そして、その守備に対してどのように攻撃をするのか?、またボールを奪ったあとにどのような攻撃をするのか?など、どのような攻撃が有効になるか考えるようになりました。

今回、私なりに学びとなった部分をまとめて知識整理していきたいと思います。

本から学べたこと
  • 守備は味方の位置で決まる
  • ”前に侵入させない守備“と“奪いにいく守備”の使い分け
  • ポジションの役割を理解する

以下に知識整理していきます。

守備方法を2つの視点で考える

守備方法の使い分け
  • 侵入させない守備
  • 奪いにいく守備

守備のポジショニングは「ボールの位置があり、次に味方の位置で決まる」とあります。

ここで意志統一として大切なことが、①侵入させない守備と②奪いにいく守備をボールの位置と味方の位置をみてから使い分けることです。ここが意思統一ができていないと、組織的な守備はおこなえません。
以下に、具体的にどこに侵入されたくないかを、どこで奪いにいくかを考えたいと思います。

ディフェンスで侵入されたくないエリア

  • CBの裏
  • CBとボランチの間

この2つのエリアに侵入させない守備が大切だと今の私は考えています。

CBの裏をつかれると、一気にシュートチャンスになります。シンプルにCBの裏にスペースがあり、GKとCBの距離が空いていれば、そこをつけば一気にチャンスになると考えています。
CBとボランチの間に入れられると、中盤のラインが崩れやすくなります。そして、CBがつり出されます。そうして相手のブロックを崩すことでスペースが生まれて、CBの裏をつかれてしまうリスクが高まります。

侵入されたくないエリアにブロックを敷くことで、相手にボールを回させるという状況をつくることができます。そのためにも、ゾーンで組織的守備をおこなうことが大切と考えています。

奪いにいく守備のスイッチ

  • ボールホルダーの状況をみてプレスをかける
  • 個人判断の共有

リトリートした際に守備ブロックを敷いたら、次にどこから守備スイッチを入れるかを考えなければなりません。そこで、重要になるのが相手のボールホルダーの状況です。楽にボールを保持できており、周りにスペースがあると簡単に逃げられてしまいプレスをかけて奪うことは難しくなります。一番オーソドックスなのが、SBへプレスをかけるパターンです。SBはタッチラインの近くでプレーする機会が多いため、中央の選手に比べて周りのスーペースが少ない状況が発生しやすいです。

そして、ブロックを敷いた状況からボールを奪いにいくスイッチ(ハイプレス)を入れたら選手全員がその判断を共有してボールを奪いきらなければなりません。
相手のベクトルが前を向いているため、そこでボールを奪えば切り替え(トランジション)で優位に立つことができます。そして、CBとGKの間のスペースに侵入できれば、一気にゴールチャンスになります。

このように、攻撃のための守備の意識をもつことで守備からサッカーをみる楽しさを覚えることができています。

各ポジションの役割

この守備ブロックを敷きやすいのが、4−4−2というフォーメーションです。そして、この4-4-2ではボールがどこにあるかという事をベースに、11人が連動して動く必要があります。以下に4−4−2のフォーメーションにおけるポジションに応じて簡潔にまとめていきます。

サイドバック

  • バックラインの一員として、”チャレンジ&カバー/横ずれ“(守備)
  • 逆サイドのSBはCBより下がらない(守備)
  • ボランチとセンターバックの間にポジションをとる(攻撃)
  • 組み立て能力が必要(攻撃)

ここでの横ずれは、逆SBが縦にずれたら横にスライドしなくてはならないし、CBが前につり出されたら、中に横ずれしないといけない。そこのゾーンを守る意識をもつことが大切と考えています。

ワイドミッドフィルダー

  • 逆サイドにボールがある時には、中央のスペースを埋める(守備)
  • サードストライカーとしてバイタルエリアに侵入/FWを追い越す(攻撃)

私がサイドハーフをしていた時の考えですが、守備の時にはサイドから攻められている時には縦を切るのか中を切るのかを味方の位置できめていました。そして、逆サイドにボールがある時には中に絞って中央のスペースをケアしていました。

攻撃時には幅をとることと、ライン間で受けることを状況に応じて使い分けていました。常に相手の陣形を崩すために駆け引きをすることが大切だと考えています。

ボランチ

  • 敵CFへのパスコースをブロックする(守備)
  • 4−1−4−1 の形成に貢献する(守備)
  • FWが空けたスペースがある時は前線へ上がるチャンス(攻撃)
  • ボールサイドと逆サイドのボランチは少し上がり気味に位置し、FWに当たったボールをサポート(攻撃)
  • クロスが上がった時は基本的にセカンドラインに位置しこぼれ球を狙う(攻撃)

ボランチはチームの中心にポジションをとっているため、そこのエリアを空けてしまうとCBとボランチの間のスペースを使われてしまうため、ゾーンディフェンスに長けている必要があると考えています。

そして、守備ブロックにおいてはFWと連携を取る必要があります。FWへのパスコースの限定を協力しておこない、ダブルボランチ(インテリオール)で協力してゾーンを守る必要があります。

FW

  • パスコースを限定する守備【特にボランチへのパスコースをきる】(守備)
  • 2トップの2人は、相手CBのドリブルでの侵入を許さない(守備)
  • 相手スローインの時は斜線のスペースを埋め、ボランチにサイドチェンジをさせない(守備)
  • 必ずボールサイドに位置する(攻撃)

敵のゴールキックの場合、ロングボールであることがわかっている場合は、4−4−1−1の陣形をとり、味方が跳ね返したクリアボールを拾うことが大切と記述されています。

また、相手2枚のCBのパス回しを自由にさせないようにすることもあわせて述べられています。

CB

  • 意思統一のための指示の声が不可欠(フリーなスペースを残さないように指示)
  • 情報の発信源である必要がある(全体を見渡せる)
  • CBやボランチに戦える選手が必要(対人プレーに優れた選手)

フリースペースを残さないために、サイドバックのポジショニンもCBが確認しておかなければなりません。例えば、右SBが上がったら、左SBは自重させたり、両SBが上がる時には必ずボランチを引かせるなど。フリーなスペースを残さないように気を配らなければなりません。

また、ディフェンス時に2トップが両CBに対応してきてもSBがいるため4対2で守ることができます。そこでも、SBとCBとのコミュニケーションが大切です。(裏のスペースをケアするようにSBと連携をとる)

ちなみに攻撃時ですが、相手2トップが2CBにプレスをかけてきたら、ボランチが降りてCBをサポートする役割を担わなければなりません。

各ラインのOrganize DF時の役割

4−4−2においての3ラインでの役割を最後にまとめます。ゾーンディフェンスにおいてはボールを中心としたコンパクトな守備陣形をとることが大切であると述べられています。

ポジションが決まる要因

  1. ボールの位置
  2. 味方の位置
  3. 敵の位置

この3つの位置をみてからポジショニングを修正していかなければなりません。

そして、3ラインの考え方ですが
第1線(FW):パスコースの限定(外へパスさせる)。ボランチへのパスコースを閉じる。サイドイッチ。

第2線(MF):背後の敵へのパスコースを閉じる。サンドイッチ。

第3線(DF):人をチェック。長いパス・浮き球のパス、横断パスを狙う。

ブロックの高さやサイドでのプレスのスタート、追い込み方はチームとして共有していかなければならない。ディフェンスにおける主役はCBかボランチであると私は考えています。この両者が同じ守備のイメージを描けていないと組織として守備を構築することが難しいと考えられます。

さいごに

以上、この著書で私が学び知識整理できたことを記述しました。こうしてアウトプットすることがまた知識の整理にもなります。以下にゾーンディフェンスについて少し違う視点からの記述をご紹介します。

  • ゾーンディフェンスは相手がどう動こうが関係ない
  • ゾーンディフェンスを組織するにはポジショニング(形、配置)だけでは守れない。そこには魂が吹き込まれないと本物にならない。

スポーツは人間がおこなうものです。そこには魂という気持ちが大切になってきます。強者が必ず勝つわけではないのがサッカーの面白いところです。

私が監督をしている FC宇和島も、サッカーの原理・原則を理解しチームで意思統一を図り組織的な守備がおこなえるようにとりくんでいきたいと思います。

ABOUT ME
谷本一真
谷本一真
理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士、PRP-Japan
PRIコンセプトを基に、障害の予防とパフォーマンスの向上を目的としたコンディショニングをおこなっています。また、サッカー指導者としても活動しており、特に小学生に対する指導を行っています。 運動や習慣改善によって健康を支援することに情熱を注いでおり、各個人のニーズに合わせたプログラムを設計しています。興味がある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。詳細は直接やりとりの中でお伝えいたします。
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