宇和島市の奨学金返済支援事業とは?若者の定住を支える「最大100万円」の支援制度
主な参考文献
宇和島市.(2026)「宇和島市奨学金返済支援事業」.
はじめに
宇和島市の広報で、「奨学金返済支援事業」の案内が掲載されていました。
この制度は、奨学金を返済しながら働いている若い世代に対して、返済額の一部を市が補助する制度です。宇和島市の場合、前年度に返済した奨学金額の3分の2、上限20万円を最大5回まで受けられるため、合計で最大100万円の支援になる可能性があります¹。
奨学金は、進学の機会を広げる大切な制度です。一方で、卒業後に働き始めてから返済が続くため、若い世代にとっては生活設計や結婚、子育て、住宅取得などにも影響することがあります。

宇和島市の奨学金返済支援事業は、今年だけの新しい制度ではありません。少なくとも令和6年度・令和7年度にも募集が確認でき、制度の根拠となる交付要綱は平成28年、2016年に制定されています。つまり、宇和島市では以前から、奨学金返済の負担を軽減しながら、若者の地元定着を後押しする制度を続けてきたといえます。
今回の記事では、宇和島市の制度の内容を整理しながら、他県・他市でも同じような制度がどのくらい広がっているのかを、できるだけ分かりやすくまとめます。
宇和島市の「奨学金返済支援事業」の概要
宇和島市の奨学金返済支援事業は、奨学金を返済している若い世代に対して、返済額の一部を補助する制度です¹。
制度の概要を表にすると、次のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 宇和島市奨学金返済支援事業 |
| 支援額 | 前年度に返済した奨学金額の3分の2 |
| 上限額 | 年間20万円 |
| 支援回数 | 最大5回 |
| 最大支援額 | 最大100万円 |
| 対象年齢 | 申請年度に満40歳以下 |
| 居住要件 | 宇和島市に住民登録があり、現に居住していること |
| 定住意思 | 引き続き5年を超える期間、宇和島市に居住する意思があること |
| 就労要件 | 平成27年3月1日以降に就職し、1年以上継続して就労していること |
| 対象外 | 公務員は対象外 |
| 令和8年度募集期間 | 令和8年6月16日〜令和9年2月26日 |
対象となる奨学金は、日本学生支援機構の第一種・第二種奨学金、愛媛県奨学資金、宇和島市奨学資金、その他市長が認める奨学金です¹。
ただし、保護者が債務者となっている教育ローンは対象外とされています¹。
宇和島市の制度で大切なポイント
この制度で大切なのは、単に「返済が大変な人を支援する」というだけではなく、宇和島市に住み、働き続ける若い世代を支える仕組みになっている点です。
申請要件には、宇和島市に住民登録があり、現に居住していること、さらに5年を超えて宇和島市に住み続ける意思があることが含まれています¹。
つまり、この制度は「奨学金返済支援」と「若者の定住支援」が組み合わさった制度といえそうです。
宇和島市のような地方都市では、進学を機に市外へ出た若者が、そのまま都市部で就職する流れが起こりやすいと考えられます。奨学金返済支援は、地元で働くことの経済的なメリットを少しでも高める施策として位置づけられているのだと思います。
宇和島市奨学生
写真には、もう一つ「宇和島市奨学生追加募集」という案内も載っています。
こちらは、進学中または進学予定の学生に対して、修学金を貸し付ける制度です。宇和島市公式ページでは、高校・高専学校は月額15,000円、大学・短大・専門学校は月額30,000円の貸与とされています²。
違いを整理すると、次のようになります。
| 制度 | 目的 | 対象 | お金の性質 |
|---|---|---|---|
| 宇和島市奨学生 | 進学・在学中の学費支援 | 高校・高専・大学・短大・専門学校などの学生 | 貸与型。卒業後に返還が必要 |
| 宇和島市奨学金返済支援事業 | 卒業後の返済負担を軽減し、若者の定住を支援 | 奨学金を返済しながら働く満40歳以下の人 | 補助金。条件を満たせば返済支援を受けられる |
つまり、宇和島市奨学生は「学ぶために借りる制度」、奨学金返済支援事業は「働き始めてから返済を支える制度」と考えると分かりやすいと思います。
全国ではどのくらい広がっているのか
奨学金返還支援は、宇和島市だけの制度ではありません。
国の地方創生関連資料では、令和7年6月1日現在、47都道府県、876市区町村が奨学金返還支援に取り組んでいるとされています³。
これは、奨学金返還支援が全国的に広がっていることを示しています。
| 区分 | 実施状況 |
|---|---|
| 都道府県 | 47都道府県 |
| 市区町村 | 876市区町村 |
| 主な目的 | 若者の地方定着、地元就職、Uターン促進、人材確保 |
| よくある条件 | 一定期間の居住、就労、年齢制限、奨学金の返還実績、市税滞納なしなど |
このように見ると、奨学金返還支援は、教育支援という面だけでなく、人口減少対策、若者定住、地域産業の人材確保といった意味も持つ制度になっていることが分かります。
他県・他市の奨学金返還支援制度との比較
他の自治体でも、宇和島市と似たような制度が行われています。
代表的な例を表にまとめます。
| 自治体 | 制度の内容 | 支援額・上限 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 宇和島市 | 奨学金返済支援事業 | 前年度返済額の3分の2、上限20万円×最大5回、最大100万円 | 満40歳以下、宇和島市に居住・就労している人が対象。公務員は対象外¹ |
| 松山市 | 出産世帯奨学金返還支援事業 | 申請者1人につき上限20万円 | 出産世帯を対象に、奨学金返還費用の一部を支援。父母ともに返還している場合はそれぞれ対象になる場合あり⁴ |
| 松山市 | 奨学金返還支援制度登録企業応援補助金 | 企業の出捐額の2分の1。上限42,000円、IT人材確保枠は上限50,400円 | 企業が県の奨学金返還支援制度に登録し、若者の県内定着・UIJターン就職を促進する仕組み⁵ |
| 香南市(高知県) | 未来人材育成奨学金返還助成金 | 市外就労者は上限9万円、市内就労者は上限12万円。最長8年 | 満40歳未満、市内居住・就労などを条件に支援。令和7年度から制度内容を拡充⁶ |
| 丸亀市(香川県) | 奨学金返還支援事業補助金 | 上限8万円×10年間、最大80万円 | 若者の流出抑制やUターン促進を目的とした制度。令和7年度受付は終了⁷ |
| 枚方市(大阪府) | 若年者奨学金返還支援補助金 | 最大45万円 | 市内中小企業等で働く若手人材の確保・定着を目的に支援⁸ |
| 甲賀市(滋賀県) | 奨学金返還支援制度 | 返還額の75%または100%、上限20万円を5年間 | 市内に住み、市内企業等で働く人を支援。JASSOの自治体一覧に掲載⁹ |
| 伊賀市(三重県) | 若者定住のための奨学金等返還支援金 | 返還額の2分の1、年間上限20万円、5年間で最大100万円 | 宇和島市と同じく最大100万円規模の支援⁹ |
表を見ると、自治体によって支援額や条件には違いがあります。
宇和島市の「最大100万円」は、全国的に見ても比較的大きな支援額に入ると考えられます。特に、前年度返済額の3分の2まで支援される点は、返済負担を実感している若い世代にとって大きな助けになる可能性があります。

この制度が地域にとって大切な理由
奨学金返済支援は、単なる個人への経済的支援にとどまりません。
若い世代が地元に残る、または地元に戻るきっかけになる可能性があります。地元で働く人が増えることは、地域の事業所にとっても人材確保につながります。
また、若い世代が地域で生活を続けることは、結婚、子育て、住宅、地域活動、消防団、スポーツ少年団、地域行事など、さまざまな面で地域の力を支えることにもつながります。
もちろん、奨学金返済支援だけで若者定住の問題がすべて解決するわけではありません。
働く場所、所得、子育て環境、教育環境、交通、住まい、地域の魅力など、複数の要素が関係します。ただ、その中でも奨学金返済支援は、若者が「地元で暮らすこと」を考える一つの材料になる制度だといえそうです。
宇和島市でさらに大切になること
個人的には、このような制度は「あること」だけでなく、「必要な人に届くこと」がとても大切だと感じます。
奨学金を返済している人の中には、自分が対象になると知らないまま過ごしている人もいるかもしれません。
私は奨学金を全て返済しましたが、公務員を退職してからも払い続けていました。この制度を掴むことができていればと反省しています。

特に、宇和島市の制度では、申請年度に満40歳以下であること、1年以上継続して就労していること、宇和島市に住み続ける意思があることなど、条件が細かく設定されています¹。
そのため、対象になる可能性がある方は、早めに宇和島市の公式ページや教育総務課で確認することが大切です。
まとめ
宇和島市の奨学金返済支援事業は、奨学金を返済しながら働く若い世代にとって、大きな支えになる可能性がある制度です。
最大で100万円の支援を受けられる可能性があり、これは生活設計や将来設計にとって決して小さくない金額です。
全国的にも奨学金返還支援は広がっており、令和7年6月1日現在、47都道府県、876市区町村が取り組んでいるとされています³。
人口減少が進む地方都市にとって、若い世代が地域で暮らし、働き続けることはとても大切です。
宇和島市のこの制度も、若者の生活を支えながら、地域の未来を支える一つの取り組みといえそうです。
対象になるかもしれない方は、ぜひ一度、宇和島市の公式情報を確認してみてください。
参考文献・参考資料
- 宇和島市.(2026)宇和島市奨学金返済支援事業.
- 宇和島市.(2026)令和8年度宇和島市奨学生追加募集.
- 内閣官房 新しい地方経済・生活環境創生本部事務局.(2026)「奨学金」を活用した大学生等の地方定着の促進.
- 松山市.(2026)【県市連携事業】出産世帯奨学金返還支援事業について.
- 松山市.(2026)松山市奨学金返還支援制度登録企業応援補助金.
- 香南市.(2026)香南市未来人材育成奨学金返還助成金について.
- 丸亀市.(2025)奨学金返還支援事業補助金.
- 枚方市.(2026)市内中小企業等で働く若手人材の奨学金返還を最大45万円補助します.
- 日本学生支援機構.(2026)地方公共団体が実施する奨学金返還支援制度:その他の地方公共団体(市区町村).

