衆院選挙制度「評価せず62%」から考える、民意を反映する選挙制度とは
主な情報源:共同通信社「政治改革に関する全国郵送世論調査」(愛媛新聞 2026年5月6日朝刊掲載記事)

この記事では、2026年5月6日の愛媛新聞に掲載された共同通信社の全国世論調査をもとに、現在の衆議院選挙制度の仕組み、アンケートの取り方、そして結果をどのように読み取ればよいのかを整理してみます。
選挙制度は少し難しく感じますが、私たちの一票がどのように議席に変わるのかを考えるうえで、とても大切なテーマだと感じました。¹
現在の衆議院選挙制度とは
現在の衆議院選挙は、「小選挙区比例代表並立制」という制度で行われています。
これは、小選挙区選挙と比例代表選挙を同じ日に行い、それぞれ別々に議員を選ぶ仕組みです。²
衆議院議員の定数は465人で、そのうち289人が小選挙区、176人が比例代表で選ばれます。²
小選挙区では、全国を289の選挙区に分け、それぞれの選挙区で最も多く得票した1人だけが当選します。
一方、比例代表では、全国を11のブロックに分け、政党の得票数に応じて議席が配分されます。²
つまり、有権者は衆議院選挙で基本的に2票を持っています。
| 投票の種類 | 何を書くか | 何を選ぶか |
|---|---|---|
| 小選挙区 | 候補者名 | 地域の代表1人 |
| 比例代表 | 政党名 | 政党ごとの議席 |
この制度の特徴は、「地域の代表を選ぶ仕組み」と「政党全体への支持を議席に反映する仕組み」を組み合わせている点にあります。
小選挙区と比例代表を組み合わせている理由
現在の小選挙区比例代表並立制には、大きく分けて2つの目的があるとされています。
1つ目は、政権選択をわかりやすくすることです。
小選挙区では、1つの選挙区から1人だけが当選するため、選挙結果が政権選択に結びつきやすいという特徴があります。
2つ目は、多様な民意を反映することです。
比例代表では、政党への得票数に応じて議席が配分されるため、小選挙区では議席につながりにくい声も一定程度反映されやすくなります。³
| 仕組み | 期待される役割 | 課題 |
|---|---|---|
| 小選挙区 | 政権選択をわかりやすくする | 死票が多くなりやすい |
| 比例代表 | 多様な民意を反映しやすい | 政党名簿に左右されやすい |
| 並立制 | 両方のバランスを取る | 制度が複雑になりやすい |
ただし、今回の世論調査を見ると、この「バランス」が国民に十分納得されているとは言い切れない状況もあるように感じます。
比例復活とは何か
衆議院選挙では、小選挙区の候補者が比例代表にも重複して立候補できます。²
そのため、小選挙区で落選した候補者でも、比例代表の名簿順位や惜敗率によって当選する場合があります。
これが、いわゆる「比例復活」です。⁴
比例復活には、小選挙区で敗れた候補者にも議席獲得の可能性を残すという面があります。
一方で、有権者から見ると、「選挙区では落選したのに、なぜ当選するのか」という違和感につながることもあるのかもしれません。
今回の調査でも、「最もよいと思う衆院の選挙制度」として最も多かったのは、「小選挙区比例代表並立制を維持し、比例復活をなくす」という回答でした。¹
アンケートはどのように取られたのか
今回の記事によると、共同通信社は「政治改革」に関する全国郵送世論調査を実施しました。¹
調査方法は、層化2段無作為抽出法です。
これは、全国の有権者をできるだけ偏りなく反映するために、地域などを分けたうえで調査地点を選び、さらに対象者を無作為に選ぶ方法です。
世論調査では、全国民全員に質問するのではなく、一部の人を対象にして全体の傾向を推定します。そのため、標本の選び方がとても重要になります。⁵
紙面で確認できる調査概要は、次の通りです。¹
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査主体 | 共同通信社 |
| 調査テーマ | 政治改革に関する全国郵送世論調査 |
| 対象 | 全国18歳以上の男女 |
| 抽出方法 | 層化2段無作為抽出法 |
| 調査地点 | 全国250地点 |
| 調査対象者数 | 3,000人 |
| 調査方法 | 郵送法 |
| 調査票発送 | 2026年3月3日 |
| 返送締切 | 2026年4月13日まで |
| 返送総数 | 2,009 |
| 有効回答 | 1,913 |
| 回収率 | 63.8% |
回答者の内訳は、男性48%、女性52%でした。
年代別では、29歳以下10%、30代11%、40代15%、50代18%、60代20%、70代20%、80歳以上6%と報じられています。¹
このアンケートはどのように民意を反映しているのか
このような世論調査は、国民全員に聞いたものではありません。
そのため、「国民全員が同じ意見だった」と読むのは慎重であるべきです。
一方で、無作為抽出によって対象者を選び、一定数の有効回答を集めることで、社会全体の意識の傾向を推定することはできます。⁵
今回の調査で大切なのは、次のような読み方だと思います。
| 読み方 | 内容 |
|---|---|
| 反映しているもの | 全国の有権者の意識傾向 |
| 反映しきれないもの | 回答しなかった人の考え、質問文による影響 |
| 注意点 | 選挙結果そのものではなく、あくまで世論の傾向 |
| 活用の仕方 | 制度への不満や関心の方向性を知る材料 |
つまり、このアンケートは「民意そのもの」ではなく、「民意を推定するための資料」として読むのがよいのではないかと思います。
アンケートの主な結果
今回の記事で特に注目したい結果を整理すると、次のようになります。¹
| 質問・テーマ | 主な結果 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 衆院小選挙区比例代表並立制を評価するか | 評価しない・あまり評価しない:計62% | 現行制度への不満が過半数 |
| 評価しない理由 | 「政治とカネの問題がなくならないから」36%で最多 | 制度そのものだけでなく政治不信が背景にある可能性 |
| 多党化は望ましいか | 望ましい52%、望ましくない47% | 多党化への評価はほぼ拮抗 |
| 現行制度は民意を十分反映しているか | 反映できていない・あまり反映できていない:計65% | 民意反映への不満が大きい |
| 反映できていない理由 | 「小選挙区で落選した候補が比例代表で復活当選する場合があるから」48%で最多 | 比例復活への違和感が目立つ |
| 最もよいと思う衆院の選挙制度 | 「現行制度を維持し、比例復活をなくす」39%で最多 | 制度全体の廃止より、比例復活の見直しを求める傾向 |
| 企業・団体献金 | 全面禁止すべき71% | 政治資金改革への関心が高い |
この結果を見ると、現在の選挙制度について「すべてを変えるべきだ」というよりも、「現行制度を残しつつ、納得しにくい部分を見直してほしい」という意見が多いようにも感じます。
「評価せず62%」をどう読むか
見出しだけを見ると、「今の選挙制度は否定されている」と受け止めたくなります。
しかし、細かく見ると少し違う印象もあります。
最も多かった制度案は、「小選挙区比例代表並立制を維持し、比例復活をなくす」というものでした。¹
つまり、多くの人が求めているのは、制度の全面的な廃止というよりも、「選挙区で落選した候補が復活当選する仕組みへの違和感をどうするか」という点なのかもしれません。
また、評価しない理由で最も多かったのは「政治とカネの問題がなくならないから」でした。¹
この点を考えると、国民の不満は選挙制度だけに向いているのではなく、政治全体への信頼感の低下とも関係しているように感じます。
若い世代は多党制をどう見ているのか
紙面では、「理想の政党政治」について、年代による違いも紹介されていました。
年代が上がるほど二大政党制を望む割合が高く、年代が下がるほど多党制を望む傾向があると報じられています。¹
これは、とても興味深い結果だと感じました。
かつては、二大政党制によって政権交代が起きやすくなることが期待されていたのかもしれません。
しかし、若い世代ほど、多様な政党が存在し、連立や協議によって政治を進める形を受け入れやすい可能性があります。
| 政党政治の形 | 特徴 |
|---|---|
| 二大政党制 | 政権選択がわかりやすい |
| 多党制 | 多様な意見を反映しやすい |
| 連立政治 | 合意形成が必要になる |
| 少数政党の存在 | 特定の課題や少数意見を届けやすい |
政治に「わかりやすさ」を求めるのか。
それとも「多様な声の反映」を求めるのか。
この違いが、世代間の感覚の差として表れているのかもしれません。
私がこの記事を読んで考えたこと
今回の記事を読んで、選挙制度は単なる仕組みではなく、「私たちの声がどう政治に届くのか」という問題そのものだと感じました。
小選挙区は、地域の代表を明確に選ぶことができます。
しかし、1位以外の票は議席に結びつきにくくなります。
比例代表は、政党への支持を議席に反映しやすい制度です。
しかし、候補者個人を直接選んだ感覚は弱くなるかもしれません。
そして比例復活は、制度としては説明できても、有権者の感覚としては納得しにくい場合があります。
今回の調査結果は、その違和感が数字として表れたもののようにも感じます。
一方で、政治への不信感をすべて選挙制度だけの問題にしてしまうのも、少し違うのではないかと思います。
企業・団体献金の全面禁止を求める声が多いことからも、国民が求めているのは「制度の形」だけではなく、「政治への信頼を取り戻すこと」なのかもしれません。¹
比例復活は「得票率」を基準にしてはどうか
私は、比例復活の仕組みを残すのであれば、政党が決めた比例順位だけで復活当選者が決まる形には、少し違和感があります。
比例順位を政党が決める場合、有権者からの支持よりも、政党内での評価や立場が影響しやすくなる可能性があるからです。
そのため、比例復活を決める場合は、小選挙区での「得票数」ではなく、「得票率」を基準にした方がよいのではないかと感じました。
| 基準 | メリット | 課題 |
|---|---|---|
| 政党が決めた比例順位 | 政党として候補者を調整しやすい | 政党内の評価で復活が決まる印象が残る |
| 小選挙区での得票数 | 実際に集めた票数がわかりやすい | 人口の多い地域の候補者が有利になりやすい |
| 小選挙区での得票率 | その地域でどれだけ支持されたかを比較しやすい | 投票率や候補者数の影響は考える必要がある |
得票数だけで見ると、有権者数の多い都市部の候補者が有利になりやすい面があります。
一方で、得票率であれば、その小選挙区の中でどれだけ支持を集めたのかを比較しやすくなります。
比例復活を「惜しくも小選挙区で届かなかった候補者を救う仕組み」と考えるなら、政党内の順位ではなく、小選挙区での得票率を基準にする方が、有権者の意思に近い制度になるのではないかと思いました。
得票率順にしても政党の議席数は基本的に変わらない
比例復活を小選挙区での得票率順にした場合でも、自民党や参政党など、各政党の総議席数が大きく変わるわけではありません。
なぜなら、比例代表の議席数は、まず政党ごとの比例得票によって配分されるからです。
そのため、得票率順にすることで変わるのは、「その政党が何議席を得るか」ではなく、「その政党の中で誰が比例復活するか」という部分です。
| 変わらないもの | 変わる可能性があるもの |
|---|---|
| 政党ごとの比例議席数 | 比例復活する候補者の順番 |
| 自民党・参政党などの総議席数 | 政党内で当選する候補者の顔ぶれ |
| 比例代表の得票に基づく議席配分 | 名簿順位よりも小選挙区での支持率が重視される点 |
つまり、得票率順にすることで、政党の議席数を変えるというよりも、比例復活の納得感を高める効果があると考えられます。
政党が決めた順位ではなく、小選挙区でどれだけ有権者の支持を得たかを基準にすれば、「落選したのに復活した」という違和感は少し和らぐかもしれません。
私は、比例復活を残すのであれば、政党内の評価ではなく、小選挙区での得票率を基準にする方が、より民意に近い制度になるのではないかと感じました。
中選挙区制度に戻すという考え方もある
比例復活への違和感を考えると、中選挙区制度に戻すという考え方も一つの選択肢だと思います。
中選挙区制は、1つの選挙区から複数人を選ぶ制度です。小選挙区のように1人だけが当選するのではなく、得票数の多い順に複数の候補者が当選します。
この仕組みであれば、「小選挙区で落選した候補者が比例で復活する」という形ではなく、最初からその地域の中で複数の代表を選ぶことになります。
| 考え方 | 特徴 |
|---|---|
| 現在の制度 | 小選挙区で1人を選び、比例代表で政党への支持も反映する |
| 比例復活の見直し | 小選挙区での得票率を重視して復活順位を決める |
| 中選挙区制度 | 1つの地域から複数人を選び、地域内の支持をより広く反映する |
中選挙区制にすれば、小選挙区で1位になれなかった候補者にも、地域の中で一定の支持があれば当選の可能性があります。
その意味では、死票を減らし、地域の多様な民意を反映しやすくなる可能性があります。
一方で、同じ政党から複数の候補者が立候補する場合、政党同士の競争だけでなく、同じ政党内での候補者同士の競争が強くなる可能性もあります。
そのため、中選挙区制に戻せばすべてが解決するわけではありません。
しかし、比例復活に違和感を持つ人にとっては、「政党が決めた順位で復活する制度」よりも、「地域の中で得票した順に複数人が選ばれる制度」の方が、民意に近く感じられるのではないかと思いました。
比例代表制と中選挙区制度の違い
比例代表制と中選挙区制度は、どちらも「多様な民意を反映しやすい」とされる制度ですが、仕組みには大きな違いがあります。
比例代表制は、主に「政党への支持」を議席に反映する制度です。
一方、中選挙区制度は、1つの選挙区から複数人を選ぶことで、「地域の中での候補者への支持」を反映しやすい制度だといえます。
| 比較項目 | 比例代表制 | 中選挙区制度 |
|---|---|---|
| 基本的な考え方 | 政党への支持を議席に反映する | 地域の中で複数の代表を選ぶ |
| 投票先 | 主に政党名に投票する | 候補者個人に投票する |
| 当選の決まり方 | 政党の得票数に応じて議席が配分される | 得票数の多い候補者から順に当選する |
| 民意の反映 | 政党ごとの支持率を反映しやすい | 地域内の複数の意見を反映しやすい |
| 候補者個人への評価 | 見えにくくなりやすい | 反映されやすい |
| 小政党への影響 | 議席を得やすい場合がある | 選挙区内で一定の得票が必要になる |
| 死票 | 比較的少なくなりやすい | 小選挙区よりは少なくなりやすい |
| 課題 | 政党が決める名簿順位の影響を受けやすい | 同じ政党内の候補者同士の競争が起きやすい |
| 有権者の感覚 | 「政党を選ぶ」感覚が強い | 「地域の代表を選ぶ」感覚が強い |
簡単に言えば、比例代表制は「どの政党を支持するか」を議席に反映する制度です。
中選挙区制度は、「その地域でどの候補者がどれだけ支持されたか」をもとに、複数の代表を選ぶ制度です。
そのため、比例代表制は政党の考え方や政策を重視する制度、中選挙区制度は地域の候補者個人への支持を重視する制度と考えると、違いがわかりやすいと思います。
地方政治にもつながる視点
この問題は、国政だけの話ではないと思います。
地方政治でも、住民の声をどのように拾い、どのように議会や行政に反映するのかは大切なテーマです。
選挙制度がどうであっても、政治に関わる人が市民の声を丁寧に聞き、説明責任を果たしていくことが必要だと感じます。
制度を変えれば、すべてが良くなるわけではありません。
しかし、制度に対する違和感を放置すれば、政治への信頼はさらに低下してしまう可能性があります。
だからこそ、今回のような世論調査は、政治家だけでなく、私たち有権者にとっても考えるきっかけになるのではないでしょうか。
まとめ
今回の共同通信社の全国世論調査では、衆院小選挙区比例代表並立制について、「評価しない」「あまり評価しない」が計62%に上りました。¹
ただし、その結果は「現行制度をすべて廃止すべき」という単純なものではなさそうです。
最も多かった制度案は、「現行の小選挙区比例代表並立制を維持し、比例復活をなくす」でした。¹
このことから、国民の不満は、制度全体というよりも、比例復活や政治資金の問題など、「納得しにくい部分」に向いている可能性があります。
選挙制度は難しいテーマですが、私たちの一票が政治にどう反映されるのかを考えるうえで避けて通れません。
今回の記事をきっかけに、単に「制度が良い・悪い」と見るのではなく、「どのような民意を、どのように政治に反映させるのか」という視点で考えていきたいと思いました。
参考資料・引用文献
- 共同通信社.(2026) 「衆院選挙制度を評価せず62% 「政治とカネ」に不満 政治改革世論調査」. 『山陰中央新報デジタル』2026年5月6日. ※同内容の共同通信配信記事が愛媛新聞2026年5月6日朝刊にも掲載。
- 千代田区.(更新年不明) 「衆議院議員選挙と参議院議員選挙の違い」. 千代田区公式ホームページ.
- 衆議院.(2016) 「衆議院議員の選挙制度の在り方」. 衆議院.
- 吐合大祐.(2022) 「復活当選と政策活動―現代日本の議員行動と利益誘導政治―」. 『選挙研究』38巻1号, 76-88.
- 内閣府大臣官房政府広報室.(2018) 「内閣府政府広報室の世論調査業務について」. 内閣府.

