子どもの数1329万人——日本と世界、そして宇和島市から考える少子化の現実

谷本一真
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主な資料:総務省統計局/宇和島市市民課/厚生労働省/こども家庭庁/e-Gov法令検索

この記事では、日本の子どもの数が過去最少となったニュースをきっかけに、「そもそも子どもとは何歳までを指すのか」という定義を確認したうえで、日本と世界の比較、そして宇和島市の人口構造を表で整理しながら、少子化が地域にどのような影響を与えるのかを考えてみます。

まず確認したい「子ども」の定義

「子ども」と一言でいっても、統計、法律、制度によって年齢の範囲が少し違います。

今回の新聞記事や総務省の人口統計でいう「子ども」は、基本的に15歳未満、つまり0〜14歳を指します。¹

呼び方・制度年齢の範囲主な使われ方
総務省統計局の「こども」15歳未満、つまり0〜14歳人口統計、新聞記事、国際比較など
児童福祉法の「児童」満18歳未満福祉制度、児童相談所、児童福祉施策など²
児童福祉法の「乳児」満1歳未満乳児期の支援など²
児童福祉法の「幼児」満1歳から小学校就学前まで保育、幼児期支援など²
児童福祉法の「少年」小学校就学から満18歳未満児童福祉法上の区分²
こども基本法の「こども」心身の発達の過程にある者年齢で一律に区切らない考え方³
児童手当の対象となる児童0歳から18歳到達後の最初の3月31日まで児童手当制度⁴

このように、同じ「子ども」でも、使われる場面によって意味が変わります。

そのため、本記事では、人口統計の話をするときは、総務省統計局の定義に合わせて、子ども=15歳未満、つまり0〜14歳として整理します。¹

まず知っておきたい数字

少子化という言葉はよく聞きますが、数字で見ると、その深刻さがよりはっきりします。

項目数値
日本の15歳未満人口1329万人
前年からの減少数35万人減
連続減少45年連続
日本の子どもの割合10.8%
世界平均の子どもの割合24.4%
宇和島市の0〜14歳人口5,616人
宇和島市の0〜14歳割合約8.7%
宇和島市の65歳以上割合41.8%

日本全体でも子どもの割合は10.8%と低くなっていますが、宇和島市では0〜14歳の割合が約8.7%となっており、全国平均よりさらに低い状況です。¹⁵

日本と世界の子どもの割合を比較する

まず、日本の子どもの割合が世界の中でどの位置にあるのかを見てみます。¹

国・地域15歳未満人口の割合
世界24.4%
アメリカ17.1%
イギリス17.0%
フランス16.2%
中国15.4%
カナダ15.0%
ドイツ13.9%
イタリア11.7%
日本10.8%
韓国10.2%

この表を見ると、日本の子どもの割合は、世界平均の半分以下に近い水準です。¹
日本より低いのは、ここに挙げた国では韓国です。¹

つまり、日本の少子化は「なんとなく子どもが少ない」という段階ではなく、国際的に見てもかなり低い水準にあるといえそうです。

日本の子どもは、年齢が低いほど少ない

日本国内の子どもの数を年齢別に見ると、さらに気になる傾向があります。¹

年齢区分人口
0〜2歳213万人
3〜5歳243万人
6〜8歳268万人
9〜11歳296万人
12〜14歳309万人

この表では、年齢が低いほど人数が少なくなっています。¹

12〜14歳は309万人ですが、0〜2歳は213万人です。¹
つまり、今の中学生世代よりも、これから小学校に入る世代、さらにその下の乳幼児世代の方が少ないということになります。

これは、今後しばらく子どもの数が増えにくい構造を示しているように感じます。

宇和島市の子どもの割合を見る

次に、宇和島市の年齢別人口を見てみます。
宇和島市の資料では、令和8年4月30日現在の総人口は64,665人です。⁵

年齢区分人口
0〜4歳1,428人
5〜9歳1,823人
10〜14歳2,365人
0〜14歳合計5,616人
65歳以上27,044人
総人口64,665人

この数字から計算すると、宇和島市の0〜14歳の割合は約8.7%です。⁵
一方で、65歳以上の割合は41.8%です。⁵

全国の子どもの割合が10.8%であることを考えると、宇和島市は全国平均よりも子どもの割合が低く、高齢化もかなり進んでいることがわかります。¹⁵

宇和島市の地区別に見ると、地域差も大きい

宇和島市全体だけでなく、地区別に見ると、さらに違いが見えてきます。⁵

地区0〜14歳人口総人口子どもの割合65歳以上割合
宇和島地区4,010人43,436人約9.2%39.4%
吉田町552人7,819人約7.1%47.9%
三間町489人5,114人約9.6%43.4%
津島町565人8,296人約6.8%48.0%
宇和島市全体5,616人64,665人約8.7%41.8%

この表を見ると、宇和島市の中でも、地区によって人口構造に違いがあります。⁵

特に吉田町と津島町では、65歳以上の割合が約48%となっています。⁵
これは、住民のほぼ2人に1人が65歳以上に近い水準です。

子どもの数が少ないということだけでなく、地域を支える世代そのものが少なくなっていくことを考える必要がありそうです。

少子化は、地方では暮らしに直接影響する

少子化は、全国ニュースでは「人口統計」の問題として語られます。
しかし地方では、暮らしの中で直接感じる問題になりやすいと思います。

分野起こりうる変化
学校児童生徒数の減少、クラス数の減少、学校統合の検討
地域行事子ども会、祭り、地域活動の担い手不足
スポーツ少年団やクラブチームの人数確保が難しくなる
商店街若い家族層の消費が減り、地域経済が弱くなる
医療・介護支える世代が減り、地域全体の負担が増える
公共交通利用者減少により、路線維持が難しくなる

少子化は「子どもが少ない」というだけの問題ではありません。
学校、スポーツ、商店街、医療、介護、交通など、地域の暮らし全体に関わる問題だと感じます。

出生数も過去最少になっている

厚生労働省によると、2024年の出生数は686,173人で過去最少となりました。⁶
合計特殊出生率も1.15で過去最低とされています。⁶

項目2024年の数値
出生数686,173人
合計特殊出生率1.15
自然増減数-919,205人
婚姻件数485,092組

出生数が減るということは、将来の子どもの数がさらに少なくなるということです。
また、親になる世代そのものも減っていくため、少子化はすぐに反転しにくい構造になっていると考えられます。

国の少子化対策は何をしているのか

こども家庭庁は、「加速化プラン」により、3.6兆円規模の子育て支援の拡充を進めています。⁷

主な政策は次の通りです。⁴⁷⁸

政策内容
児童手当の拡充2024年10月から拡充。高校生年代まで対象を広げ、第3子以降は月3万円。⁴
こども誰でも通園制度就労要件を問わず、月一定時間まで柔軟に利用できる新たな通園制度。2026年度から全国実施予定。⁸
妊婦のための支援給付妊娠期からの支援を強化。⁷
出生後休業支援給付・育児時短就業給付育児と仕事の両立を支援。⁷

これらの制度は、子育て家庭の負担を軽くするうえで大切だと思います。
ただし、制度ができたからといって、すぐに出生数が増えるとは限りません。

子どもを持つかどうかには、収入、雇用、住まい、教育費、家族の協力、職場環境、地域の支えなど、さまざまな要因が関わっているからです。

こども家庭庁の政策はいつ頃効果を出す想定なのか

こども家庭庁を中心とした少子化対策は、すぐに出生数を増やすというよりも、まずは子育て世帯の負担を軽くし、若い世代が子どもを持ちやすい環境を整えることを目指していると考えられます。7

主な政策と期待される効果を、時期ごとに整理すると次のようになります。

時期政策・制度期待される効果
2024年度児童手当の拡充。所得制限撤廃、高校生年代まで延長、第3子以降は月3万円など。4子育て世帯の家計負担をすぐに軽くする効果。
2025年度出生後休業支援給付、育児時短就業給付の創設。7育休・時短勤務を取りやすくし、共働き・共育てを支える効果。
2026年度こども誰でも通園制度の全国実施、子ども・子育て支援金制度の創設。7,8保育・子育て支援の利用しやすさを高める効果。
2026〜2028年度子ども・子育て支援金制度を段階的に導入。7財源を安定させ、子育て支援を継続する効果。
2030年頃まで少子化トレンドの反転を目指す。出生率・出生数の下げ止まりが見えるかを判断する時期。

ただし、これらの政策は「すぐに子どもの数が増える」ことを保証するものではありません。家計支援や保育・育児制度の充実によって、子どもを持ちたい人があきらめなくてもよい環境に近づけることが重要だと思います。

宇和島市で考えるべきこと

宇和島市のような地方都市では、少子化対策を「子育て支援」だけで考えるのでは足りないかもしれません。

視点大切になりそうなこと
仕事若い世代が地元で働ける仕事を増やす
所得結婚や子育てを見通せる収入を確保する
住まい子育て世帯が住みやすい住宅環境を整える
教育学校、スポーツ、文化活動を維持する
地域子育て家庭が孤立しない関係性をつくる
健康子どもから高齢者まで健康を支える仕組みをつくる

地方の少子化は、子どもの数だけではなく、若い世代が地域に残れるかどうかという問題でもあります。

「子どもを増やす」だけでなく、
子どもを育てたいと思える地域をどうつくるか。
この視点が大切になるのではないでしょうか。

人口が減っても、地域の価値まで減るわけではない

少子化の数字を見ると、どうしても厳しい現実を感じます。

しかし、人口が減ることと、地域の価値がなくなることは同じではないと思います。

宇和島には、海、山、食、歴史、文化、人のつながりがあります。
大都市にはない暮らしやすさや、地域のあたたかさもあります。

ただし、それを次の世代につないでいくためには、今までと同じ仕組みを続けるだけでは難しいかもしれません。

学校、地域活動、商店街、医療、介護、スポーツ、子育て支援。
これらを人口減少時代に合わせて、少しずつ形を変えていく必要があると思います。

まとめ

今回の人口統計で使われている「子ども」は、15歳未満、つまり0〜14歳を指します。¹
一方で、児童福祉法では満18歳未満を「児童」とし、こども基本法では年齢で一律に区切らず、「心身の発達の過程にある者」をこどもとしています。²³

このように、子どもの定義は場面によって異なります。
そのうえで、人口統計として見ると、日本の子どもの割合は10.8%で、世界平均の24.4%を大きく下回っています。¹

さらに宇和島市では、0〜14歳の割合が約8.7%となっており、全国平均よりも低い水準です。¹⁵

数字だけを見ると、少子化はかなり厳しい現実です。

しかし、ここで大切なのは、悲観することだけではないと思います。
現状を正しく知ったうえで、地域として何を守り、何を変えていくのかを考えることが必要です。

少子化は、子育て世帯だけの問題ではありません。
学校、地域、仕事、医療、介護、商店街、スポーツ活動など、地域全体の未来に関わる問題です。

宇和島市にとっても、少子化は避けて通れない課題です。
だからこそ、子どもを持ちたい人が安心できる地域、子どもが育ちやすい地域、そして人口が減っても暮らしの質を守れる地域を考えていく必要があるのではないでしょうか。

参考文献

  1. 総務省統計局. 統計トピックスNo.148 我が国のこどもの数―「こどもの日」にちなんで―. 2026.
  2. e-Gov法令検索. 児童福祉法. 参照 2026-05-05.
  3. e-Gov法令検索. こども基本法. 参照 2026-05-05.
  4. こども家庭庁. 児童手当. 参照 2026-05-05.
  5. 宇和島市市民課. 年齢別人口 令和8年5月. 2026.
  6. 厚生労働省. 令和6年(2024)人口動態統計(確定数)を公表します. 2025.
  7. こども家庭庁. 加速化プランによる子育て支援の拡充と子ども・子育て支援金. 参照 2026-05-05.
  8. こども家庭庁. こども誰でも通園制度について. 参照 2026-05-05.

ABOUT ME
谷本一真
谷本一真
理学療法士、呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士、PRP-Japan、JFA-B級
PRI(Postural Restoration Institute)コンセプトを基に、障害予防やパフォーマンス向上を目的としたコンディショニング指導を行っています。また、小学生を中心にサッカー指導者としても活動し、子どもたちの心身の成長をサポートさせていただいています。 運動や生活習慣の改善を通じて、健康づくりのサポートに情熱を注いでいます。
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