中国古典〜1日1言〜:4/29
4/29
険を見て能く止まるは知なるかな
-見険而能止、知矣哉-
「易経」
険を見て能く止まるは知なるかな
危険を察知したら、進むのを見合わせて立ちどまる、それが知者である。
中国人のいう「知者」とは、たんなる物知りではない。自らの進退について、適切な判断を下せるのが「知者」なのだという。
不確実な時代を生き抜くには、全天候型の人間をめざさなければならない。全天候型とは、攻めにも強いが守りにも強いということだ。つまり、攻めるところは攻め、守るべきところはしっかりと守らなければならない。
危険だと見たら踏み止まるような手堅い生き方をみにつけたいところだ。
サッカーにおける全天候型の選手
現代の科学技術の発展により、技術力の解明がおこなわれるようになっています。特殊能力が科学の発展により解読、再現性がとれるようになってきました。
現代のサッカーは、アスリート化しています。その背景には、技術力や創造力が科学により解読され特殊化されなくなってきたこともあると考えられます。
1990年台〜2000年前半のサッカー界には、ジダンやデルピエロ、ルイコスタ、フィーゴ、トッティなど身体能力に長けていないが、魅力的な選手が多くいました。その要因の一つが足元のたしかな技術と創造力に長けていたことです。局面を好転することができる能力がありました。観ている側からすると、そういったシーンに魅力を感じていました。
しかし、現代の科学進歩により全天候型の選手が求められるようになってきました。攻めも守りもできる選手です。そういった選手がいることで、さまざまな局面に対応することができます。
そういった選手が、他の選手とより違いを生み出すには、身体能力を向上させる必要があります。アスリート化です。
科学の発展により、チームの監督はより科学的にサッカーをみて、選手を起用するようになります。人間味がなくなってくるという意見の背景に、上記のような要因があると思います。
全天候型の生き方
ここでいう「知者」で在れるように、自らの進退について適切な判断を下せる必要があります。ここでの判断で重要になってくるのが、「危険」という言葉です。
「人生の決断をするうえで、リスクのある方をとった方がより成長につながる」という言葉はよく耳にする言葉です。
困難=危険ではありません。
そして、ここでの危険には、生命の危険を意味します。
現代においては、この「危険」という言葉に「生命の危険」と修飾語が必要になると思います。
攻めも守りも大切であり、自信を成長させるにはより困難な道を選ぶべきだと思います。
「その判断が正しかったか」ではなく、「その判断を正しいと思えるように日々行動を起こしていく」ことが大切です。
日々の生活において、刺激がなく毎週同じ生活では、心身の成長は起こり得ません。困難に立ち向かっていくメンタリティとリスク回避する言行を少年期から教育することは大切なことだと思います。
本書は人生を生きるうえで参考になることばがたくさんあります。ぜひ購入して普段の生活に役立てることをお勧めします。