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香川真司の著書「心が震えるか、否か」から学べること。人が成長するために必要なこととは?

谷本一真
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香川真司の著書を読み終えました。香川選手の生い立ちや喜びや苦悩が余すことなく記された素晴らしい著書でした。

香川真司選手を追い越すようなサッカー選手が生まれるために、我々指導者はどのようなことに取り組んだら良いのでしょうか。

この著書から私が学べた事は以下のことです。

  • 先輩に挑むことの大切さ
  • 尊敬する人物の存在
  • 怪我をしないためにできること

こういったことが人が成長し続けるために大切であると学べました。
もちろん、それ以外にもとても参考になることが数多く書いてあります。一度手に取って読んでみることをおすすめします。

先輩に挑むことの大切さ

香川真司選手は、トレーニングでは年齢や立場に関係なく貪欲にプレーをしていたという事が伝わりました。特に、歳上の選手に対しても遠慮なくプレーしたいた事が記載されていました。

ここで大切になってくるのは、「年齢や立場が上の選手に対して、トレーニングではバチバチ戦う姿勢」が大切であると感じました。

19歳で初めて日本代表合宿でのトレーンングにおいて、岡田監督が目を丸くしたという記述がある。

最初の練習で真司はいきなりボールを取られたんだけど、その後に遠藤保仁の練習着を引っ張って、倒したんだよ。それを見て、ビックリしたね。まだ19歳なのに「これはすごいヤツが出てきたな!」と。(サッカー元日本代表岡田武史監督)

香川真司 心が震えるか、否か。2021.3 株式会社幻冬舎

19歳の選手が、その当時代表の中心選手である“遠藤保仁選手を倒すというプレー”を読んだだけで、いかに強いメンタルで挑んでいたかがわかります。

また、サッカーの攻撃的な選手において大切なことを香川真司選手が教えてくれています。

「真司は、ボールを止めた瞬間に相手に向かっていったんだ。普通の日本人選手は相手に向かうのではなく、空いているスペースへ向かっていくものなんだよ。相手にひるまずにドリブルで向かっていく真司の姿を見た瞬間『おっ!』と思ってね」(岡田武史氏のコメント)

香川真司 心が震えるか、否か。2021.3 株式会社幻冬舎

香川真司選手が海外でも通用したのは、この相手に挑んでいく姿勢がひとつの要因であると思います。

この相手に向かう姿勢はFC宮城というクラブチームで養われたものであるようです。

なぜ香川真司選手は先輩に挑む姿勢が身についていたのでしょうか?

それは、FCみやぎの教育方法にあったと私は考えています。

FCみやぎの指導方針(一部抜粋)
  • ドリブルを磨く
  • パスに“逃げる”のは厳禁
  • 一対一のススメ など

そして、FCみやぎは組織としての特徴として“年齢による上下関係をなくす”という特徴があります。中学年代にこういった指導を受けたことが、香川真司選手の挑む姿勢につながったと私は考えました。

2011年の日経新聞に、香川真司選手のインタビューが掲載されています。参考までに。

尊敬する人物がいること

尊敬する人を持たない人は成長しない

(橋本保雄 日本ホスピタリティ推進協会理事長・ホテルオークラ元副社長)

藤原秀昭 1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書 2020.10 致知出版社

第2章の「恩人たちとの出会い」において、C大阪時代に監督だったクルピ氏や元日本代表の森島寛晃氏、三浦和良氏などとのエピソードが記述されている。

人間の成長を後押しする存在として、恩師や憧れの人の存在は大きいと思います。自分を支えてくれる人たちに感謝をし、憧れる人物を目標とすることで、自分が憧れられる存在になることもできます。

そういった人たちと巡り会えたことも、努力を惜しまず継続したことなどが、香川真司選手が成功した大きな要因ではないでしょうか。

怪我をしないためにできること

この本を通して少し残念だったことが、“怪我により大事な試合でプレーできなかった”ことです。

本を読んで印象的だった怪我が

  1. 2009年:右足の第5中足骨(夏に痛みが強くなり、11/24に手術に踏み切ったと)
  2. 2018年:左足首の内側靭帯の損傷
  3. 大事な試合での脳震盪(マンU、ドルトムント)

このような怪我を回避することができなかったのか?私の仕事柄、このような視点で香川真司選手が語っている怪我をしたときの状況を考察してしまいます。

そのなかで、私が考えることとしては

怪我を防ぐためには

①無理をしすぎない
②健康であること
③精神的安定を得る

第5中足骨骨折疲労骨折

とも捉えられています。この10代で香川真司選手はかなりのトレーニング量をおこなっていたことが推察できます。FCみやぎでは1日5時間の練習時間があるという記述もありました。

この右足の怪我は、2011年.1月のアジア大会でも怪我をして手術をおこなっています。

香川真司選手に関わらず、人間には人それぞれ“身体が耐えられる負荷”があります。それはその人の筋肉量だったり筋繊維の割合だったり、体重や骨量などに影響されます。また、人間には新陳代謝の機能があり、時期によって体の骨強度にも変化があり、耐えられる負荷も変わってきます。疲労の蓄積も影響します。

近年はコンディショニングに関するリテラシーが高くなっています。

“回復”も重要なトレーニングです。知識は技術によって活用され、技術は知識によって支えられるという関係があります。技術を支えるために、知識を身につけていくことは大切なことです。怪我をしない知識を身につけることも大切なことです。

スポーツにおいては体が資本です。健康な体があってのスポーツです。この体に関する知識をたかめていくことが、長く技術を発揮するための大切な方法だと考えています。MLBの大谷翔平選手が活躍できているのは、この体に関する知識が高いことが一因とも考えられます。

②スポーツ選手において風邪をあまく見ない

この時期の香川選手の怪我は、「風邪の症状が出てだるさを覚えていたが、無理をしたら試合にでて怪我をしてしまった」とあります。

スポーツ選手は高強度のトレーニングや試合を重ねるため、免疫系が落ちるといわれています。

ちょっと無理をしたら試合にでれる状態だったからー

香川真司 心が震えるか、否か。2021.3 株式会社幻冬舎

発熱をしているときは、体が炎症反応で戦っているサインです。そこに試合という負荷を与えることでさらにストレスを与えてしまうことが考えられます。

試合での怪我は、オフザピッチでの体調管理が大切であると、香川真司選手の著書を通して痛感させられました。

そのために、睡眠、栄養の質はかなり大切です。シーズン中は回復に細心の注意を払う必要があると思います。

③メンタルの安定

今振り返ってみると、ブラジルW杯が終わってからのユナイテッドでの戦いでは、身が入っていなかったといえるのかもしれない。

香川真司 心が震えるか、否か。2021.3 株式会社幻冬舎

精神的にショックとなる出来事は、パフォーマンスに影響をする。これは逆もそうだと思います。

プロスポーツ選手も一人の人間です。プライベートもあります。そのプライベートも整えていくことが、一般の人でもパフォーマンスを高めるための大事な手段だと思います。

ブラジルW杯が終わってからのユナイテッドで、3部リーグの格下ドンズとの試合で、スタメンで起用されたが、脳震盪で前半早々にピッチを去ることになった。それがユナイテッドでの最後の試合となった。

地に足がついていない状況が、脳震盪のリスクを高めていたのかもしれない。

プライベートを整えることが、成功の鍵となるのかもしれません。

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ABOUT ME
谷本一真
谷本一真
理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士、PRP-Japan
PRIコンセプトを基に、障害の予防とパフォーマンスの向上を目的としたコンディショニングをおこなっています。また、サッカー指導者としても活動しており、特に小学生に対する指導を行っています。 運動や習慣改善によって健康を支援することに情熱を注いでおり、各個人のニーズに合わせたプログラムを設計しています。興味がある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。詳細は直接やりとりの中でお伝えいたします。
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