中国古典〜1日1言〜:1/13
谷本一真
taniblog
良賈は深く蔵して虚しきが若し
-良賈深蔵若虚-
「史記」
良賈は深く蔵して虚しきが若し
良賈:優れた商人
蔵:隠して表に出さない
直訳すれば、本当に賢い商人は、良い商品を持っていても、店先に並べるようなことはしない、奥深くしまっておくものだ、という意味である。
すばらしい能力に恵まれても、それをわざとらしく見せびらかしたり、ひけらかしたりすれば、周囲の反発を買って、ろくな結果にならない。奥深くしまっておくことによって、かえって人間としての深い味わいが出てくるのである。
「君子の交わりは淡きこと水の如し」ということばがある。
自身の思慮深さをいきなり表に出さずに、まずは淡々とした対応を心がけることが大切だと考えています。
水のような淡々とした対応は、落ち着きがあり安心します。逆に甘酒のようなベタベタした付き合いは、すぐに飽きられてしまいます。
水には、秘めたるエネルギーがあるというみかたがあります。
地に足のついた対応ができるように、学び続けることが大切です。
このことばは、店先に出している商品よりもさらに良い商品を奥に隠しているという意味です。
これは、人間にも言えることではないでしょうか。自身能力に最低でも2段階の深みを作っておくことで対応に余裕が生まれると考えています。
「これがダメでも、次にこれがある」というような技術をもっておくことは大切なことです。
例えば私の場合、腰痛の治療に際して、運動療法(PRIアプローチ)がダメでも徒手療法があります。その逆もあります。そして脳神経系から改善を図るアプローチもあります。このように一つの症状に対して複数のアプローチ方法をもっておくことが落ち着いた対応を生む一つの手段だと考えています。