認知症の方と接するうえで大切なこと:ユマニチュードとコミュニケーションスキル
ユマニチュードとは
フランス語で「人間らしさ」という意味
https://ja.wikipedia.org/wiki/ユマニチュード
私が医療現場に勤めていた時、認知症の患者様と接するコメディカルスタッフのなかには、「子供と接するような態度・言葉使い」をする方がいました。
私はそれを良く思ってませんでした。
人間社会にも強弱は存在します。しかし、気心知れた友人でもない他者に対して、リスペクトに欠ける声かけには苛立ちを感じていました。
私がそのような境遇にいた場合、そのような声かけはしてほしくありません。
このユマニチュードには、コミュニケーションに必要な事が記されています。
見る、話す、触れる
認知症の患者様と接する時は、「目をみて話をする時間を多くする」「相手の話を傾聴する」「スキンシップをする」ことは大切です。
認知症の症状は多岐にわたります。
・食事をした事を忘れる
・昼夜逆転
・気持ちの抑制力が低下する(易怒性)
・他者の気持ちを理解し難くなる
・同じ事を繰り返す
など…
上記の症状にも、軽度な症状から、重度な症状まで幅があります。
重度になると、家族によっては、親を子供扱いするケースもありますが…
それは家族だからです。
コメディカルスタッフがそのような態度を取ることはリスペクトに欠けます。
認知症の患者様に対しては、とくに敬意をもって接する事が大切です。
特に、理学療法士など1人に対して時間を使えるスタッフが、しっかりとコミュニケーションをとる必要があります。
他者をコントロールする(説得し納得させ、行動変容を起こさせる)ことは、基本的にはできないと考えています。
お互いが意見をぶつけ合い、双方が納得し、お互いの行動変容が起こることでコミュニケーションが良好となっていくと思います。
しかし、認知症の方は他者の気持ちを理解する事が難しいです。そのため傾聴し、承認し、できる事を賞賛することが、認知症の患者様と接するうえで大切であると考えています。
認知症と抑制帯
ユマニチュードについてわかりやすい動画があります。ご参考までに。
病院では、抑制帯を余儀なくされる患者様がいらっしゃいます。そういった方々のリハビリテーションを経験した時に
「これ外して」
と目を見て言われると、私は心苦しくなっていました。
リハビリの時は外しますが、またベッドに臥床する時には抑制帯をつけないといけません。
1人で移動すると、転倒リスクが非常に高いからです。
看護師さんの業務は非常に多忙で、申し送り業務や確認業務、患者様の入退院の受付や投薬準備、食事準備などをしながら患者様の看護を行わないといけません。
認知症の方にずっとそばにいれるわけではありません。
車椅子に乗り、手足と体幹を抑制帯で固定して看護ステーションの前で過ごしている認知症の患者様もいます。
僕たちが、半日車椅子で座って過ごすと言われたら、苦痛で仕方ないと思います。
こういった医療現場の実際は、あまり多くは知られていないのかもしれません…
動画にもありますが、これは看護師の方が悪いわけではありません。(もちろんなかには心に余裕がなく患者様にあたる方もいるのかもしれませんが…)
入院患者数を多くし、病床を満床に近い状態にし、手術を行う事で点数を稼ぐ医療体制に問題があります。
多忙を極めるほど、一人一人へ手厚い医療を行う事は当然看護やリハビリの質が下がっていきます。
私も1日24人の患者様のリハビリの経験がありますが、もう最後の方が精魂尽き果ててました(笑)
まとめ
認知症患者様と接する時には、より相手へリスペクト精神をもって接することが大切です。
これは、臨床経験を通して断言できます。
相手をコントロールする事は決してできません。自分の思い通りに相手が行動すると思ったら、大間違いです。認知症の患者様の場合はなおさらです。
このユマニチュードのコミュニケーションスタンスは、認知症の方以外にも適応できると思います。
・目を見て挨拶する
・スキンシップをはかる
・傾聴する
もちろん加減を考えながらですが。
職場のスタッフやサッカーで出会う人達と、もっと良好な関係を作れるように
これまで出会った方々と、もっと良好な関係を築けるように
これからももっともっと成長していけるように、努力を続ける。