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中学生年代における他者の重要性 〜サッカー指導を通して感じる子供たちの行動に与える要因〜

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谷本一真


私が少し関わらせてもらっている宇和島JYFCというサッカークラブの選手をみて思うことがあります。それは、中学生年代は「他者の影響を強く受ける」ということです。

私は小学生年代の指導を主におこなっていますが、中学生の指導も1/週おこなっています。そのなかには小学生年代から関わっていた選手もいます。
選手において中学生年代における他者との関わり方の違いを感じています。

他者とは友達、親、指導者です。この3つの他者からの影響が、その子の人格形成に大きく関わってきます。

友達の影響

photo of a man in a green shirt stretching his leg

身体の変化

中学生年代は成長期であり、体の変化が起こる時期です。よってこの時期は、外見を気にする時期でもあります。自分と他者との外見を比較する心理が働きます。そして、承認欲求を求め行動変容が生じます。

「自分もあのようにカッコよくなりたい」という心理が働きます。人間は好ましい他者の行動を無意識のうちに真似をする性質があります。

こういった身体的変化と心理的欲求が良い行動に転ぶ可能性もあれば、悪い行動に転ぶ可能性もあります。

カッコよさの追求方向

男としてのカッコよさを履き違える時期でもあります。「みんなと違うことをする」という考え自体は悪くありません。しかし、それが間違った方向へ進むことは良くありません。

しかし、私としては間違った事を経験する(法律に触れてはいけませんが)こと自体は必要悪でもあると考えています。「間違った経験ということに気づき、自分を律するキッカケとする」ことができれば、その子の人生にとっては必要な出来事であったとなります。

人間誰しも、大小かかわらず間違ったことを一度はしてしまいます。「間違い」であることに気づけることが大切です。

ただ、中学年代は悪を学ぶ時期でもあるのかな…この辺りの経験を積ませるのは難しいですね。そのためにも、やはり読書は大切です!様々な考え方に触れることができます。

新たに出会う友達

小学生年代から中学生年代に移行するにあたり、新たに知り合う人数が一気に増えます。まわりの友達に流されすぎず、カッコいい生き方ができるように、頭と体と行動を鍛え続けてほしいです。

R1.チーム始動当初

羞恥心

練習に対する取り組みに、上手い下手は関係ありません。しかし、子供たちをみると技術が劣っている選手は羞恥心が強く主体的な取り組みを怠る傾向にあります。


しかし、集団のなかでの劣等感を経験しておくことは大人になってからも同じ環境に身をおいた時に役に立ちます。そして自立心を育んでおくことで、大人になった時にその状況から打開するために行動を起こし優位に立つ可能性があります。

失敗体験とあえていいますが、成功のための必要な経験値です。失敗をしないと学習ができず成功しません。失敗体験をポジティブに捉えることが大切です。

そういった面からも少年時代のスポーツ活動は、大人になった時のメンタルパワーの礎になります。

失敗を恐れずチャレンジを継続する
好きなことを継続するために、その場所で努力を続ける
好きなことを継続するために、さらにレベルの高い環境で努力を続ける
好きなことを継続するために、環境を変えて楽しむ
違う好きなことができたら、環境を変える

様々な選択肢を子供時代にはもっています。羞恥心が強すぎて、人生の可能性を低くすることは避けた方が良いと思います。私もブログのライティングスキルが全くダメですが、恥を惜しんで文章を書くようにしています。これからの人生、子供たちには自分の人生を鮮やかに彩れる選択と行動をしてほしいです。

学業成績

学業の成績が良い子は、自分を律することができている傾向にあります。学びは自分と向き合うための大切な手段です。人生をみると、勉強をする姿勢を身につけることは大切です。

「勉強はしたくない」「勉強は苦手」という中学年代の選手もいます。しかし、そういった選手は勉強の価値に気づけていません。大人が勉強の価値を伝えるべきです。お金を稼ぐためには、頭が良いことは必須です。

他者と成績を比較するから、勉強ができないことから目を背けるのかもしれません。自分の成績と比較し勉強する姿勢を強くする必要があります。
過去の自分と比較し、超えることを繰り返すことが成長につながります。大人になって絶対にその姿勢は役に立ちます。

親の影響

どの年代でも、親の影響は絶大です。「子は親を写す鏡」という言葉がありますが、本当にそうだと思います。素直な子供はまっすぐな瞳をしています。

子供の成長を促すためには、大人も成長(変化)しないといけないと思います。時代が変化していくなかで、その時代に応じた考え方や時代の先を見据えた準備をすることは、子供のためにも大切であると思います。

中学年代で間違った方向へ進むかどうかは、親の教育が大切になると思います。物事の捉え方や価値観は、家庭の中で育まれるものが多いと思います。そのあたりのコミュニケーションを家族でとることが、人格形成には大切であると思います。私自身、学生時代は親とのコミュニケーションは軽薄でした。親と目を合わせて話することが少なかったかと思います。

親との、自主を育む密接なコミュニケーションは、メンタルヘルスの面からも大変重要です。
犯罪などは、子供時代の劣悪な家庭環境が一因で生じる可能性も指摘されています。

子供が素直な心をもてるかどうかは、親とのコミュニケーションが深くとれているかが大切であると考えています。

指導者

子供が成長するのに、指導者が成長を止めてしまうと良い指導ができません。時代は進み変化します。指導者やまわりの大人も、時代が進むなかでいつまでも古い考え方ばかりで接していると、時代遅れとなります。
常に変化をおそれず先に進んでいかなければ勝てません。

私もプライベートでは、同じ理学療法士の仲間と定期的に勉強会をおこなっています。

少年時代にメンタルパワーを養うためにも、指導者の関わりにより、子供たちに物事の捉え方を好転的に捉えさせる声かけは重要です。そのような声かけを私は気をつけておこなっています。

https://article.yahoo.co.jp/detail/66c297a10ef96378d70004d30aa4f7943dfbce4d

現在日本代表でドイツブンデスリーガでデュエル王も獲得した遠藤航選手も、中学の時に良き指導者との出会いがあったことを伝えてます。

おわりに

中学生年代には、他者の役割が重要です。
「いかに良い教育や体験を与える」ことができるかが成長を後押しする鍵となると思います。決して依存的にさせることなく、内的な主体性を育む重要な時期です。

中学年代は身体が大人へ成長し、高校年代では心が大人へ変化するための時期であると考えています。

この6年間の前半3年は失敗を恐れず行動し、間違った行動をとった場合は素直に認めて反省し、次に活かす努力をすることが大切です。

大人はその失敗を寛容に受け入れ、間違いを正すための教育(共育)をおこなっていく使命があります。次の時代につなげるために共に学び、ともに成長することが大切です。私も今後も子供たちと成長を続けていきます。

良き友人やライバル
良き指導者や教員
良き環境
良き大人

こういった他者と出会い、自らを律していくことでよりよい大人になれると思います。

R3.宇和島東高校と合同練習風景

宇和島JYFCの選手は、良き環境で練習がおこなえています。
今後の改善は「良き他者」の影響をもっと増やせるように我々指導者や大人がもっと努力し、選手の主体性を育んでいくことに取り組んでいきます。

ABOUT ME
谷本一真
谷本一真
理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士、PRP-Japan
PRIコンセプトを基に、小学生~高齢者を対象に運動療法を実施しています。 また、主に小学生を対象としたサッカー指導者としても活動しています。 PRIコンセプトに基づく運動療法を希望する方や、スポーツにおけるパフォーマンス向上に取り組みたい方、お気軽にお問合せください。
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