中国古典〜1日1言〜:2/4
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敗軍の将は以って勇を言うべからず
-敗軍之将、不可以言勇-
「史記」
敗軍の将は以って勇を言うべからず
失敗した者には、そのことについて意見を述べる資格がない。といった意味である。敗戦を招いた将軍が、責めを一身に負って沈黙を守るというのは、そのかぎりにおいては筋の通った生き方であるかもしれない。
だが、翻って思うに、そいういう場合、責任の取り方には二通りあるように思う。
まず、ひたすらわが身を責める。(中略)
それと同時に、なぜ破れたのか、敗因をはっきりさせておくのも、敗れた者の責任の取り方ではないか。
失敗と向き合う勇気
スポーツにおいてはミスはつきものです。そのミスとしっかり向き合う姿勢をもつことが大切です。
自分に非があるかどうか、判断が難しいこともあるかと思います。そういうときでも、しっかり自分が責任を負う覚悟をみせることが、人格形成において、またリーダーになるためには必要なことだと思います。
少年サッカーの現場では、失敗と向き合わない選手がいます。また、失敗すると口数が少なくなり下を向いて目を合わさなくなり嫌になった雰囲気を醸し出します。
それはなぜかというと、「自分を良く見せたい」という思いが誰しもあるからだと私は思います。人によく見られたいという思いが潜在的に強い選手は、失敗と向きあうことに軽薄となってしまいます。
完璧な人間は誰もいないので、誰しもが得なこと不得意なことがあります。特に学生時代には上手くいかないことの方が圧倒的に多いです。
人格形成をする上で、指導者や親が失敗とどう向き合っていくかを教えることは大切なことです。
いいわけが人をダメにする
失敗をして、いいわけをする選手がいます。言論で反論することは大切な能力です。しかし、いいわけを他者要因にする選手がいます。
トレーニングにおいて、上手くいかずチームが劣勢に立たされている時に「相手が強いから…」という理由でトレーニング途中でやる気を無くす選手がいます。
このような他者要因でのいいわけをする選手に成長は望めません。劣勢に立たされる事や逆光に立たせる事は、人生において数多くあります。スポーツにおいては、このような劣勢に立たされた時にどのような行動をとれば良いかを学ぶことができます。
失敗とどう向き合っていくか
サッカーの特徴の一つに、失敗が多いスポーツという側面があります。少年サッカーにおいては、ボール扱いが不得意な選手はなおさらミスが多くなります。それでもサッカーが好きだからサッカーを続ける選手が圧倒的に多いです。
失敗がなぜ生じているのかを考えさせることが、指導者として大切な役割だと考えています。
安易に答えを教えるのではなく、考えさせる習慣をつけることが大切です。
そして分析して改善するためにどのようなことに取り組まなければならないかを考えます。
そして、改善することができたか再度分析していくことが大切です。
岡田メソッドでは、すべての活動に対して「Good/Bad/Next」で振り返ることを大切にしています。「よかったこと」「悪かったこと」「次にどうするか」
岡田武史 岡田メソッド 自立する選手、自律する組織をつくる16歳までのサッカー指導体系 2019 英治出版株式会社
岡田武史氏はこのように述べています。
自立した人間になるためには、失敗と向き合い、振り返り、改善するために取り組み、成功体験を積み重ねることが大切です。
成功体験より失敗体験の方が圧倒的に多いわけで、大小に関わらずその成功体験一つ一つが、自己肯定感を高めるための貴重な経験になります。
少年期におけるスポーツ活動を通した人格形成には、こういった側面があると私は考えています。
本書は人生を生きるうえで参考になることばがたくさんあります。ぜひ購入して普段の生活に役立てることをお勧めします。