中国古典
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中国古典〜1日1言〜:2/27

谷本一真
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2/27

人はその長ずる所に死せざるは寡し

-人者寡不死其所長-

「墨子」

人はその長ずる所に死せざるはすくな

人間は、その長所がわざわいして、かえって死を早めることが多いのだという。

これもまた一面の真理である。

墨子は以下のように語っている。

ここに錐が5本あるとする。真っ先に折れるのは、一番鋭利な錐である。刀が5本あるとすれば、真っ先に摩滅してしまうのは、いちばん切れ味の良い刀である。また、一番先に汲み尽くされてしまうのは、うまい井戸の水であり、いちばん先に切り倒されてしまうのは、高いまっすぐな木である。

墨子

人間もそれと同じことだ。勇気のあるものはその勇気ゆえに、能力のあるものはその能力のゆえに、かえって身を滅ぼしてしまうのだという。
墨子は「有能な人物が、その地位を守りとおすことはむずかしい」と嘆いている。

 

良い時期は長く続かない

この言葉から学べることは、「人生において良い時期は長く続かない」ということではないでしょうか。人生において”物事が好転的に進み、心身の調子が良い“という時期は長くは続かないのでしょう。

調子が良い時期にこそ、その状況からさらに向上できる要因をみつける姿勢が大切だと思います。スポーツや仕事においても、良い状況でも、その状況は長くは続かないというマインドでいることは大切だと思います。

そうすることで、次にどのようなことをすれば良いかという思考が生まれます。現在の社会では、常に向上していく姿勢が求められるのかもしれません。人間社会では、それの積み重ねが生活を豊かにしてきたのだと思います。

少年期に能力の優れた選手が大成しないわけ

この言葉に、「かえって死を早めることが多い」とあります。これは、少年期スポーツにおいて、能力が高い選手が大成しない理由の一つとして捉えることができます。

少年期においては、メンタルはまだ未熟です。学校以外の社会を知らないことも一つかと思います。スポーツで人より優位に立つと、“さらに向上したい”という意欲が弱くなってしまいます。

少年期において、能力が低い選手は
“上手くなり、「相手を倒す」「ライバルに負けない」ためにどのような練習をすれば良いか”
など、先を考えて行動する思考が生まれます。

本田圭佑や中村俊輔など、中学生から高校生にあがる時にクラブユースにあがれず高校サッカーにサッカーをする場所を変えました。その時に、「あいつには負けない」「勝つためにどうしたら良いか」など将来を考えて行動することができたのだと思います。

長所が死を早めないために

「先に汲み尽くされてしまうのは、うまい井戸の水」とあるが、これは利用する側(水を飲む人間)と利用される側(水)の存在がある。人間が、そこにあるうまい井戸の水しか知らないのかもしれない。もし他にもっとうまい水が隣にあれば、そちらを選択するかもしれません。

そのためにも、
“大局的に物事をみて他者や世界を知る”
“他者の考えに変化を与える”

など、“自身よりもっと能力の優れた選手の存在を知る”、“自身の能力を他に利用ができないか”などの思考をめぐらせないといけないと思います。

そのためには、相手の思考をかえる努力や、自身の能力をブラッシュアップする努力などを怠ってはいけないと思います。

少年スポーツにおいて、将来大成するためには、長所を内的な視点と外的な視点をもつことが大切です。能力を利用する方法のブラッシュアップや、能力自体をブラッシュアップを繰り返し長く活躍できる能力をみつる思考ベースをつくることが、死を早めない(早熟)ひとつの方法だと思います。


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ABOUT ME
谷本一真
谷本一真
理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士、PRP-Japan
PRIコンセプトを基に、小学生~高齢者を対象に運動療法を実施しています。 また、主に小学生を対象としたサッカー指導者としても活動しています。 PRIエクササイズを体験したい方、お気軽にお問合せください。
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