サッカーが上達するために必要なこと 〜心をコップで例える〜
小学生を中心にサッカーの指導を行っていますが、色々な子供と接する機会があります。
最近、特に大切だなと感じている事を書きます。
コップが上を向いているか
コップ=水を入れる容器
です。が、
例えると
コップ=サッカーが上手くなりたいという心の形(成長レベルの上限値)として例える事ができます。
「向上心」とも考えています。
コップ(向上心)が上を向いていると、技術習得と定着がはやいです。
これは本当に大切な事だと思っています。
どのぐらい大きいコップを持っているかは、その人それぞれです。
少年期には、どれだけ「上手くなりたい」「取り組んでいる事柄が好きか」という気持ちが大切です。
その気持ちが、大きなコップを手にする一つの手段だと思います。
実際に少年サッカーに携わっていると「サッカーが好き」「上手くなりたい」という子供は、極端な話、放っておいても上手くなります。
中西さんも、N14中西ラボでこのように述べていましたが、コップが下を向いている状態ではいくら良い情報を与えても受け入れて吸収してくれません。
そういった子供たちへ、いかに良い情報と体験を与えるかが、指導者として大切な事だと思います。
私自身、少年期はサッカーの本をみて、フェイントを知ったり、TVでみる選手の真似をして自分の技術を磨いていました。
どうやって(目的に合った)コップを手に入れるか
サッカーをする動機は人それぞれです。
私の場合は、父親がサッカーをしていて、家の中には常にサッカーに関する情報(トロフィーや雑誌など)が目に入っており、父のサッカー(少年サッカーの指導)についていってました。(連れていかれてた?)
また、幼少期には同級生に一緒にサッカーをしてくれる仲間がいた事が大きかったです。
この2つが、私がサッカーが上手くなりたいというコップを持つことに繋がったと思います。
成長するための原点は、「自発性」。これは自分の中から持ち上がってくる力。命令形では高められない。
参考:平尾誠二
自発性が身につくかは、周りの環境や出会う人達によって育まれるものと思います。
コップを手に入れるには、自発的に〇〇したいと思える事柄に出会う事が大切だと思います。
その環境を周りの大人が整えていく事は、大切だと思います。
僕自身がそういった人間になりたいと思います。
コップが真上を向いていない
自発性がなく、好きでもないけど周りがやってるからなんとなくやっている。
その場合、成長速度は格段に遅くなります。
コップが真っ直ぐ立っていない子です。
子供の時は、素直である事は成長するために必要な事だと断言できます。
家庭環境や周りの友人との出会いなどで、素直になれない子もいます。
よくあるのが、「親がやれと言われたからやっている」というパターン。これは技術習得に時間がかかります。
自分から「〇〇のためにこの練習をする」という行動が大切です。
その行動が正しいか正しくないかは二の次だと思います。
その行動こそが、大人になってから仕事をする上で大切になります。
周りの大人は、子供がそのようになるために、環境づくりや声かけをうまく行っていく事が大切です。
決して押し付けるのではなく…
心が目的と向き合っているか
さらに大切な事が、自分から水をもらいにいくか。
①水は飲みたいけど、自分から欲しいと言えない。
②水が飲みたいから、自分から欲しいと言う。
この2つも成長速度に違いが生まれます。
素直である事はとても大切です。
そして、行動(練習)することです。
向上するためには、多くの情報に出会い、吸収する努力をする事が大切だと思います。
指導者の責任
必要な水分を与える事ができるかが大切。
=適切な情報を与える。
欲している水分の種類が違っていれば、飲んでくれません(..)
今この選手、チームにはどの水分が必要なのか正しく把握することが大切です。
指導者がしたい指導をするのではなく、選手が必要と感じる指導をすることが大切であると考えます。
水にも賞味期限があるように、情報にも賞味期限があります。
常に新鮮な水を与えられるように、指導者も日々勉強している必要があります。
適切な水分量を与える。
=一度に情報を勢いよく与えすぎない。
高い位置から注ぐと、勢い余って水分が溢れます。コップに近い高さから適切な量の水分を注ぐことが大切です。
抑圧的な指導をしても、選手の自主性は育まれないと思います。選手に近い目線で、「選手のことを良くしたいという想い」で、指導にあたることは大切であると考えています。
多様性を与えることも。
=同じ水分ばかりだと、多様性が得られません。
私は多様性が大切だと考えています。色々な水分を知り、自分の好きな水分を見つけることが大切だと思います。
指導者が、様々な気づきを与えることが大切だと考えています。サッカーは奥が深く、時代によって進歩・変化していきます。
小学年代では、中学・高校で色々なサッカーを知るための土台づくりをしておく必要があると考えています。色々な考えに対応できるように。
もちろん、サッカーだけでなく、野球やバスケ、水泳など他競技を行うことを通して身体の使い方やテンポ・タイミングの多様性を体験する事も必要であると思います。
この点については、デイヴィット・エプスタインの著書「RANGE 知識の幅が最強の武器になる」にも記されています。
本田圭佑も、中学生になってからサッカー一本に絞ったと言ってますね。
それまでは他競技も行なっていたと言ってましたね。
トレーナーとして難しいと感じていること
中学生のチームのトレーナーに、難しさを感じています。
この年代の子供たちは、サッカーが好きでチームに所属しています。
サッカー力が向上するため、身体操作トレーニングも重要です。
しかし、中学年代で身体操作性のトレーニングがまだ普及できていません。
中西哲夫さんは、マジョルカの久保やレアルの中井を少年期から指導しています。それを大人になった今も取り組んでいます。子供たちがフィジカルトレーニングを行いたいという気持ちがないと、中学年代でのフィジカルトレーナーとして活動は難しいのかなと感じています。
フィジカルには、柔軟性(可動生)と安定性(静的・動的)、感覚機能(体性感覚、視覚)たちが大切になってきます。
この大切さを伝えていきたいと思います。
高校年代は、強度が高くなるためフィジカルトレーニングも取り入れやすくなります。(当たり負けしないために体を鍛えるという考え)
それも大切ですが、鍛える前に、自分の身体をコントロールできるかはとても重要です。
私が取りれているPRIコンセプトは、低強度トレーニングで身体の操作性を高めるトレーニングです。このコンセプトを中学年代から広めたいです。
身体操作性を高めるトレーニングの普及に、努めていきます。
一般の方で、PRIトレーニングを行なった後、走るのが楽になったと言われる方もいます。
「いつも走る速度(ルームランナー)が、トレーニングを受けた後には遅く感じた」と。
まとめ
- コップが真っ直ぐか(素直)
- 色々な水分をとっているか(多様性)
- 自ら水分をたくさんもらいにいくか(向上心)
- 水分を吸収できるか(行動力)
人間のやる気を客観的に数値化する事は難しいと思います。
しかし、「どれだけ行動に移せたか」が、向上心を表す指標だと思います。
「子は親を写す鏡」という言葉がありますが、「子は周りの大人を写す鏡」とも捉えることができます。
出会う子供達に、良い影響を与えられるように自分自身もっと成長していきます。
子供に成長の上限がないように、大人にも成長の上限はありません。